汐留のコンラッド東京の中華料理レストランはミシュラン1つ星を獲得している貴重な中華料理レストランです。
窓際席からは、東京湾とお台場方面が展望でき、日本ではほかに見ない香港のようなハーバーヴューはなかなか素晴らしいし、雰囲気がある。
香港の高級広東料理レストランと同様に、ワインリストはかなりそろっている。フランスが中心で、ボルドー、ブルゴーニューニュはもちろんだが、白ワインのアルザスがあるのは料理との相性から評価したい。
飲み物を先に聞きに来ないのでタイミングを逸するが、後から飲み物メニューを置いてくれた。ボランジェ・フェアのようで、リュイナール以外はすべてボランジェだ。グラスシャンパーニュの種類は多く、日本の中華料理レストランではおそらく最高レベルだろう。ただ、ボランジェ・スペシャル・キュベがグラスで3200円は破格の高さ。ロゼは3400円。4200円のグラン・ダネの方がむしろお得感がある。ハーフボトルもあるが、20000円超のグラン・ダネのフルボトルに逆に割安感を感じてしまうが、ここでは冷静にスティルワインのフルボトルを選ぼう。
広東系の中華料理に合うワインは豊富にある。アルザスのピノ・グリ。メイエ・フォンネ、価格は手ごろだが、これは最高のセレクションだった。ほのかに甘く、丸い果実味。酸味は少なく、キレがある。あと、コンドリュー、ジンファンデル、ヌフ・デ・パプなどいかにも合いそうなものが揃っている。
オードブルに点心盛り合わせを選ぶ。5種。きれいな色合いと可愛い形。食材は鶏、えび、魚、蟹、豚とすべて変えてあるが、ヴィジュアルのレベルの高さに比較して、味は今一つ感動がなく、まあ普通の味わい。
ワタリガニのサラダ。ワタリガニにしては大きい。きれいに作っているが、これも日本的な普通のサラダ。
銀むつの醤油煮込み。エレガントな味わい。豆鼓などで深みを出しているが、しょっぱなくないのが良い。
高麗豚の揚げ物の黒酢餡かけ。いわゆる酢豚に近いが、薄切りの豚肉がカラッとジューシーで、揚げる技術が絶妙。本日の最高料理である。これだけ、きれいに揚げる技術は香港でもトップレベルだろう。かかっている餡もコクと味わいがあり、レベルが高く、野菜もきれいに仕上がっている。
蟹と蟹味噌の汁そば。これだけの素材を使っているのだから、もう少し味に深みがあってもよいだろう。
マンゴーのデザート。フランス風のデザート、フレッシュで味わいが深くこれは標準以上の出来。バランスが良い。
クワイとゴマの揚げ餅。もう少し味に深みがほしいところ。揚げ具合はいいのだが、具材の加工技術に課題が残る。
サービスレベルはまあまあだが全般に説明不足で、くつろぎに欠ける。ワインに関してはもう少しフレンドリーな会話を求めたい。料理説明ももう少しゆっくり話してほしいところ。
雰囲気は香港のモダン中華料理レストラン風で日本では最高レベルだが、料理はクリエイティブナ方向性が認められるもの、味や調理レベルが意外に平凡で、感動するような抜きんでたものが少ないのが残念なところである。ワインのラインナップも最高レベルだが、シャンパンを中心に強気の価格設定。料理の価格もかなりのものなので、日本の最高レベルのフランス料理店とほぼ同程度かそれ以上の予算が必要で、円安になっても香港の星付き中華料理レストランの倍近い予算が必要である。
B+