クリスマスディナーを新橋のフレンチSublimeでいただきました。
昨年10月オープンの北欧風フレンチということで、期待して予約したところ、予約後ミシュラン2017で1つ星を獲得しました。
ミシュラン星付きフレンチでは珍しい地下1階の店です。銀座では地階のフレンチは★を獲得していません。天井むき出し、白を基調として自然を意識した空間デザインは北欧的です。
テーブルにはクロスがないという噂でしたが、白いクロスがかかっていました。
コースが1種類のみのメニューは、素材のみで想像力を掻き立てます。シャンパーニュをグラスでオーダー。ビルカール・サルモンのスタンダード。
菊芋
下の方には菊芋が敷き詰められていますが、これは食べるものではありません。カラッと揚げた菊芋の器の中に菊芋のちょっと甘いピューレが入っています。
炭火焼ではなく、鹿と猪のコンソメ。旨味が凝縮しています。臭みはありません。北欧的な北の野生エレガントな味わいです。
炭を食べる料理ではありません。(本物の炭も下から出てきますが。)炭を練り込んだパンをあげたものです。サクサクした懐かしい食感。
炙りカマスの上にケールのソテー、大根のかつら剥き。生クリームベースの出汁を加えたソースにエストラゴン。旨味が出ています。
最初のワインはドメーヌ・アレクサンドル・バン・シャン・クチュリエDom. Alexandre Bain Champ Couturier
ロワールのソーヴィニヨン・ブランですが、琥珀色の色合いは熟成したニュアンス。自然酵母、貴腐の付いたブドウも使用、亜硫酸無添加の自然派ワインは、蜂蜜のような味わいです。
薄くスライスしたカリフラワー。なぜか日本的な繊細なニュアンスが出ていて、PASSGE53の佐藤伸一シェフのスペシャリテ「イカとカリフラワー」でも使われています。見た目は白舞茸のようで美しいです。白子のフリットなど温かい料理は最近の冬の流行料理ですが、バターでソテーしたごっつい姿がカリフラワーで雪のように覆われていて、クリーミーな暖かい食感とともに北欧の冬を感じます。ヴィジュアルなセンスが感じられます。
ドメーヌ・アラン・ブリュモン シャトー・モンテュス・ブラン
フランス南西地方、マディランのエリア、パシュラン・パシュラン・デュ・ヴィックビルのプティ・クルビュ主体のおなじみワイン。豊かな果実味と酸味とミネラル感を兼ね備えたリッチな味わいです。
スライスした生とソテーしたマッシュルームの下にマッシュルーム発酵させたポタージュ状のピュレが、その下に半熟卵が敷き詰められています。マッシュルームを発酵させることによって、香りが複雑濃厚に、うま味も出て、白トリュフのようです。白トリュフをかけた半熟卵に似ています。
プンタイ ソーヴィニヨン・ブラン2013年エルステ+ノイエピュンテPuntay Sauvignon 2013 Erste + Neue。 トレンティーノ・アルトアディジェのソーヴィニヨン・ブラン。フレッシュで爽やかです。
バターは2種類。ヨーグルトのような発酵バターとオニオン風味のちょっと甘いバター。全粒粉のサクッとしたパンと相性が良いです。
和歌山産ヒラスズキ
スズキは世界のフランス料理でももっとも使われる魚の一つがスズキですが、これはただのスズキではありません。日本近海で冬場に獲れる臭いのクセのない高級魚で、めったに見ることがありません。しこしことした新鮮な食感にヨーグルトとキノコのソース。アンディーブ、根セロリ。素材を生かした正統派のフランス料理です。
ピュリニー・モンラシェ2007
蝦夷鹿うちもも
ビーツの極細切り、これも流行の食材で、どこかトウモロコシのような香りがあり、北海道の大地を感じます。ビーツをベースに生クリームを加えたエレガントなソース。肉はジューシーで繊維、北海道の原野を走るシカを感じさせます。臭みは全くありません。こちらも正統派フレンチ。
シラー”レ・カンティーヴ” イヴ・キュイロン
SYRAH “Les Candives” 2007 Yves Cuilleron
北ローヌ、コンドリューのドメーヌです。
洋梨 ローズマリー
洋梨のメレンゲと液体窒素処理で瞬間凍結させたローズマリーの軽やかなデザート。
今回のコース最大のイベント、問題料理の登場です。きれいな焼き色の付いた丸い器から焼き芋の香りが立ち上がります。サツマイモを薄く練り込んだクレープのふたが香ばしく焼きあがっています。スプーンでパリッとしたふたを破ります。
オレンジシャーベットを入れてもらいます。中には液体窒素で固めたサツマイモのメレンゲやコンポートが顔を出して、パリッと香ばしい蓋を絡めると絶妙な味わいです。演出、奇抜さ、創作性だけでなく複雑な味わいと食感。見事なデザートです。
焼き菓子は栗の花はちみつのフィナンシェとカシスのギモーヴです。
アミューズのスナックや前菜は、北欧の伝統的な乳製品や発酵食とモダンな分子料理の技法が融合したイノベーティブな料理。メインの料理は素材を生かした正統派のフレンチ。創作性やサプライズもあり、快適な空間の中で楽しい時間を過ごすことができました。ペアリングのワインは、もう少しイノベーティブであっても良いのでは。
SYRAH “Les Candives” 2007
Yves Cuilleron
シラー ”レ・カンディーヴ” イヴ キュイロン