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紫逸軒 Zi Yat Heen

フォー・シーズンズ・マカオにあるミシュラン2つ星の中華レストラン。フォーシーズンズ香港の龍景軒のシェフをしていた麥協富Mak KipFu氏がこちらに招聘されて、シェフを務める。場所はホテルの1階の廊下の突き当たりにある。

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廊下の入り口で予約の時刻の10分前、8時20分に入ったが、まだ準備できていないということで、外のソファで10分ほど待たされる。

ダイニングルームの中央に、天井まで貫くガラス張りのワイン・セラーに並べられたワイン・ボトルが壮観である。

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テーブルに着き、飲み物を聞かれ、シャンパンかスパークリングをグラスで注文したいというと、Taltarniというオーストラリア産のスパークリングの白が出された。シャンパンもあったようだが、特に、客に選ばせるようなことはなかった。このスパークリングワインは、瓶内2次発酵によると思われる深い味わい。アミューズにはインゲンにクラゲを詰めたものが出された。

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グラスワインは、赤白6種類ずつあり、ポルトガルのワインが2種類ずつあるのがマカオらしい。オーストラリア、ニュージーランドが多く、フランスはボルドーの赤が1種類あるだけ。日本にも輸入されている、ニュージーランド、マールボロのソーヴィニオン・ブラン、ヴィラ・マリアをオーダーする。

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蟹の爪の海老肉巻き。煎 鮮蟹Crispy Crab Claw with Shrimp Mousse。当店のスペシャリテの一つ。ジューシーな海老のすり身を軽く火通しして、複雑で凝縮感のある煮汁をかけ、乾し海老のかりかり揚げと蟹の子をトッピングしている。付け合わせはグリーンアスパラ。

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新鮮で柔らかく弾力性のある海老のペーストがジューシーで、蟹の香りに良く調和する。淡く甘い味わいが、エレガントでいかにも広東料理らしい一品である。

クリスピーチキンZi Yat Heen Crispy Chicken。世界最高レベルのチキン料理と思われる。外はカリッと北京ダックのように香ばしく、甘くクリスピーな皮と身のジューシーさは絶品。冷めても硬くならずにジューシーさが持続するのが素晴らしい。ハーフポーションでも十分なボリュームである。

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鰻の揚げ物、蜂蜜と金木犀添え。Crispy Eel with Honey and Osmanthus。これさらにすばらしい。縦横に細かく包丁を入れて揚げてあるため、ふんわりと丸く筒状の花のように鰻の身が広がり、表面はかりっと香ばしく、中はふんわりジューシーで絶妙な揚げ具合である。鰻の脂、旨味、ジューシーさ、土の香りなどが入り混じった複雑な独特の食感が広がる。しかもカットが6切れと十分な量で、金木犀(桂花)の花の蜂蜜和えが付け合わせで添えられている。

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牛肉の炒めものも注文しようとしたのだが、肉料理が多いから野菜にした方が良いというので、おすすめのアスパラの炒め物を注文する。ただ、これは蟹の爪の付け合わせとかぶっていた。

しかし、その後の動きがない。最初に魚が来ると思って注文したグラスのソーヴィニオン・ブランは20分たっても出て来ないため、キャンセルして、ボトルのピノ・ノワールを注文する。かなり催促したところ、ようやく登場。ブシャールのポマール2009。うなぎに合う土と鉄の香りを期待したが、意外にもかなりピュアで、ある意味でブシャールらしいワインである。鰻にもチキンにもかなりフィットする。

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イカのニンニクとチリ炒め。Pan-Fried Squid with Garlic and Chili。細く切ったイカをフライパンでさらっと炒めて、細かいニンニクとトウガラシのカリカリ炒めをまぶした料理。味が濃く、イカもジューシーさに欠ける。これは広東料理らしくない。メニューにおすすめマークが付いていたのだが、選択ミスだろう。

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食べないでワインを待っていても何も動きはない。グラスが空になっても足しに来ない。ボトルが離れたところにあるので自分で注ぐこともできず。

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野菜料理はいつまでたっても持ってこない。催促したら、注文していない野菜の湯葉巻き揚げPan-Fried Bean Curd Sheet Rolls with Seasonal Vegetablesが来た。間違えたのかもしれないが、そうこうするうちにラストオーダーになり、そのままいただくことにする。この料理もレベルが高く、野菜がジューシーで良かったが。

料理のレベルは香港の龍景軒よりも上で、たぶん世界最高峰ではないだろうか。この日だけのことだったのか、サービスレベルは最低レベル。大声で話すカジノに来た日本人男性のグループなど、客筋も良いとは言えず、ワインを飲んでいる人もほとんどいないようだ。料理のレベルが、中華料理界、世界最高レベルであるだけに、そのギャップを強く感じる。シェフが気の毒である。 

マネージャーと思われるスタッフが、ダイニングルームから離れている時間が長く、この間、サービスレベルが著しく低下していた。中央を貫くワインセラーがダイニングルームを分断していることも影響していると思われる。 

評価は料理に限定されるとはいえ、ミシュランの2つ星も微妙なところだろう。 

マカオは巨大ホテルの建設ラッシュである。中国の経済発展に伴う、宿泊人員や観光客の急激な増加に、スタッフの数や質が追い付いていないように思われた。タクシーも行き先を間違えた上に、メーター稼ぎのために、湖のまわりを無意味に2回まわっていた。タクシーの苦情カードをホテルの職員が客に渡していたところを見ると、問題のある運転手が余程多いのだろう。市内も観光客であふれていて、タクシーもつかまらず、半島部からタイパ島のホテル・ベネツィアンまで行くのに、路線バスを探し出してようやくたどり着くことができた。バスの運転手や案内所の職員も英語が十分に話せない。しばらく、マカオ観光は控えた方が賢明かもしれない。

 

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