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沼津駅周辺の中心市街地活性化に関する雑感(大丸コム開発真鍋享社長の講演より)

大丸コム開発の真鍋享社長による講演が、5月23日の沼津商工会議所と沼津市役所商工振興課担当者によるタウンマネージャー会議の場でありました。

真鍋社長は大丸百貨店の店舗出店などのプロジェクトを担当してきた商業施設開発のスペシャリストで、現在も大丸、松坂屋を中心とするJFRグループの店舗開発のキーマンとして、銀座店の改築、上野地区の再開発などの重要なプロジェクトを推進されており、静岡県関係では浜松市の松菱跡地への大丸の出店も準備室長として手掛けられました。

今回は、私から西武沼津店閉店後の沼津駅前の商業施設の整備について御支援をいただけないかとお願いしたところ、担当部長とともに現地に赴いて、沼津駅を中心とした中心市街地を詳細に調査されました。結論としては、JFRグループとしては、このエリアでプロジェクトを立ち上げることは難しいが、コンサルタント的立場からの支援はしていただけるとのことでした。

そこで、数々の商業施設の開発を手掛けてきたプロとしての立場から、沼津市の駅前を中心としたエリアに関する所感を関係者に述べていただきたいとお願いしたところ、御快諾いただき、大変御多忙な中、今回のタウンマネージャー会議における講演が実現しました。

真鍋社長の講演は評論家や学者の机上の空論ではなく、日本を代表する百貨店ビジネスにおける商業施設開発プロジェクトの担当者としての意見であるだけに、大変説得力あるものでした。

以下、当日の講演内容のうち、「現地雑感」を当日のレジュメなどをベースに私が取りまとめたものです。なお、この内容については、真鍋社長の御校閲をいただいていないことをご了承ください。

 

現地雑感

1.沼津駅周辺をかつて機能していたような中心広域商圏の拠点とするには、現状の区画・ブロックの構造では厳しい。個々の区画が小さく、ハード・ソフトのスムーズな連続性も見られずインパクトに欠ける。結果として、沼津地域の地域間での競争力は、どんどん弱まっていく。東海道線沿線の駅前を比較して、沼津駅前ほど厳しい状況はほかにないだろう。

RSC(リージョナル・ショッピング・センター、広域を商圏とする大型ショッピングセンター。多くは核となるGMS(総合スーパー)や百貨店と大型専門店、小規模店によるモール、アミューズメント施設などにより構成される)的要素を核とした街づくり(核づくり)を実現させることが望ましいが、そのためには相応のスペースが要る。

例えば、物販と物販以外の機能を含めて営業面積はざっと、30,000㎡位は欲しい。その為には延べ床面積は60,000くらい、例えば4層(それ以上の多層階は厳しい)として1階は延15,000㎡、建築面積としては20,000㎡くらいを一敷地として確保したい。

駅前立地でのRSCは、郊外における立地創造型のRSCに較べ、いくつかの利点がある。

・  かつては中心地であったため、「街に集まるという意識」が地域の住民に潜在的にある。

・  JRとバスというマストラ(大量輸送機関)が存在し、直結している。

・  街として、他の機能と全体で必要なモノ・サービスの提供できることにより、これからの時代にふさわしいコンパクトシティの理念に沿ったまちづくりが実現できる。

2.具体的には、駅前に駅直結で大きな区画の整備が考えられないか。

・  現在のバスターミナル、駅ビル、駅前広場、イーラde、といった機能をすべてとり込む再開発。西武本館跡地を種地とする、RSCの立地可能な大きな区画で駅直結の再開発を行い、イーラdeの商業機能は再開発の商業施設に配置する商業機能と一体的に再整備する。

・  北口とも太い導線で一体化させていく(ex雨に濡れない、アメニティ要素のある跨線橋など。ex静岡セノバ)

3.既存商店街のLife Style Center(※)化は、上記の街づくりの中で静鉄ストアを核として、必要な業態カテゴリーを再編集し、環境もあわせて展開していく。これに隣接して、商店街的展開をインモールで形成することも検討できるのではないか。

※近接センターのカテゴリー・MDを商品・環境デザイン的にワンランク、クォリティを上げて展開するSC。

4.現在の商店街エリア(残念ながらゾーンとしては機能していない。)には、新しい切り口でコンセプトワーク・テーマ設定に基づいて街づくりを検討してみる。

例えば、切り口として、「スポーツ・健康、福祉、生きがい、教育・文化、アメニティ、観光等」に対応して、大学・専門学校、託児所・保育園・特養、スタヂアム、ミュージアム、ライブホールなど

5.出来れば駅から港にかけたエリアのどこかで、未来の街づくりの起爆剤となりうるようなエリア開発・箱モノの開発・ソフト開発を検討してみる。

・サッカースタヂアムとチーム

・ホールとミュージック・イベント

・3世代同居モデルタウン(住宅と制度)

ソフトのイベントは企画と育成の両方が大事。

6.まずは、過去の検討を踏み台にしつつ、マーケティングデータ等を生かしながら、街づくりのマスタープランを専門家(都市計画コンサル、大手絵設計事務所、総合デベロッパー、ゼネコン等)も入れて、再度つくってみてはどうか。

様々な都市計画・開発の手法をリストアップし、ベストな手法を見つけ出していくことも大きな課題と思われる。当然、行政の強力なサポート(場合によっては行政の主導)が不可欠である。

大きくは2つのエリアでの区画整理を行う。

① 商店と住居のエリアでは、商店は大型モールに置き換える。

② 大型モール開発は、法定再開発などの手法により保留床を生み出していく。

③ 現在の商店街のエリアでは、新しい街づくりを検討する。

(Keyは、地元に強いエネルギーを持った、プロジェクトリーダーの存在。)

駅前

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