大崎駅に近い東五反田地区で、三井不動産等が事業主体となって整備が進められ、大半が竣工に至った複合再開発「パークシティ大崎」。その商業ゾーンである「オリーブテラス」が先週オープンした。日本の従来の再開発ビルとしては珍しいのだが、1階のレストランが街のメインストリートに面しており、ほとんどの店の屋外には、オープンテラスのテーブル席が用意されていて、ヨーロッパの都市のような街並みの賑わいを見せていた。
三井不動産の街づくりに関するレベルの高さを改めて実感した。一昨年オープンした札幌市の道庁に近い「赤れんがテラス」でも街路上にテラス席があり、開放感のテーブルで食事やワインを楽しむ人が見られた。こちらでは当初から計画されていたのか、ここは2列に並ぶ街路樹とシンボルのオリーブの木とともに、パリのカフェ風が並ぶ街並みのような、ヨーロッパ的な快適なコミュニティ空間が創造され、従来の東京の再開発のオフィス街にない、人間中心のまちづくりが行われている。
店舗ではワインのインポーター、ヴィノラムがワイン・ショップ『アロムヴェール』とフレンチレストラン『ラ・ターブル・ド・コンマ』を出店している。ワイン・ショップは小規模ながらフランス・ブルゴーニュの著名なドメーヌのほか、オ・ボン・クリマ、カレラといったカリフォニア、シャル・ピノの2大巨頭が揃っている。レストランでは小峰シェフ得意の野菜料理を。ランチのオードブルは繊細な味のキノコと野菜の煮込み。
他のレストランでも、広島お好み焼きとワインの店「TAKASAGOMARU」などワインを料理に合わせるコンセプトの店がいくつかある。ただ、チェーン展開しているが目立つのは再開発ビルのテナントの限界だろうか。
実は私、17年間住み慣れた港北ニュータウンを離れて、先月(2015年8月)から、この再開発のエリアの住民となったばかりである。このような食やワインをゆっくり楽しむことができる街並み空間の中で、オフィスで働く者と住民による新しい地域のコミュニティが生成されていくことを期待したい。