下北は25年ほど前、青森県庁で仕事をしている時に過疎地域の仕事で良く行ったが、まさかワインの産地になるとは当時は想像できなかった。このワインの生産者、サンマモルワイナリーへは青森市から２時間以上はかかる。かつての下北郡川内町（現むつ市）である。このワイナリーでは除草剤、化学肥料を一切使っていないブドウを使用しているとのことで、有機の郷づくり地域として県に指定されている。
外観は赤紫色から少しガーネット色の入った、薄い色合い。香りは最初弱かったが、次第に開いてきて、ヨーグルトなどの乳製品や、梅干しなどの漬物のニュアンスが感じられる。
まろやかながら酸味がしっかりしている。化粧をしたようなところが全くなく、自然な飲み口で一見あっさりしていて軽く思われるが、派手さはないものの、水墨画のようなわびとさびの世界、鰹出汁のような旨味が抽出されていて、味わいは深い。
したがって、出汁のしっかりした日本料理に良く合う。ラベルでは少し冷えた15C前後が美味しいと記しているが、やや温度を高めにした方が味わいは深くなる。