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アカデミー・デュ・ヴァンの藤巻暁先生の「Encepageアンセパージュ」。10月10日のテーマは「Domaine Emmanuel Rouget Vosne Romanee」。エマニュエル・ルジェのヴォーヌ・ロマネの1997、1999、2004 、2006、2008を垂直試飲しました。

赤系果実の芳醇で甘い香り、酸やタンニンが強すぎず、ピュアで優しい味わい。心地よい樽の風味などアンリ・ジャイエの思想を忠実に引き継いだと思われる、繊細なブルゴーニュらしいワインがすべてのアイテムに共通して感じられました。 DSC04558[1]

一番良かったのが1997.甘い赤系果実の香り、果実味が豊かで、柔らかくバランス良い味わい。一般には、当時早飲み向きヴィンテージと言われ、比較的安値で取引された1997ですが、エマニュエル・ルジェのヴォーヌ・ロマネに関しては、やや退色が進んでいるものの、まだまだ新鮮で、今飲み頃を迎えています。

2008もこれに似ています。ややオレンジ色が入っている外観。熟した果実の甘い香り。やや硬いが果実味もあり、バランスも良いです。ただ、マールのような蒸留酒的なニュアンスが感じられ、気にしている参加者もいましたが、原因は何なのでしょうか。

2006は鮮やかなルビー色で、外観から若々しさが感じられます。香りは閉じていて、味わいも酸とタンニンが強く、内向的な厳しい味わいで、まだ飲み頃は先になりそうですが、今後が期待されるワインです。2006の特色が良く現れています。

1999はグラスのふちにオレンジ色が感じられる外観。スパイシーな香りで、力強いが、やや内向的で硬い味わい。残念ながら状態が万全ではいえず、コルクにも変化が感じられたので1999と判断されました。それが原因で、ワイン自体が硬い味わいになっていることが推測されますが、硬いのは1999のヴィンテージの固有の味わいかもしれません。気にしなければ、香りも味わいもかなりの水準です。

2004は問題のヴィンテージで、独特の香りがすることがブルゴーニュのマニアの間では有名です。明らかに退色が進み、オレンジ色がかった外観。除梗100%であるにもかかわらず、全房発酵のような茎っぽい香りやグリーンノートが感じられるのは典型的な2004の特色ですが、熟成が進んだような、かなりの退色が認められる外観に1997と推定した参加者も多かったようです。香りも紅茶やハーブなどの熟成に伴うものがあり、味わいは柔らかく、独特な香りを気にしなければ、今すでに飲み頃で、満足できるヴィンテージです。一説によると、この香りはこの年にブルゴーニュで大量発生したてんとう虫によるとのことです。

2004でも昨日飲んだトプノ・メルムのジュブレ・シャンベルタンからは、このような香りは全く感じられませんでした。抽出をしっかりして、酸やタンニンが先行する力強い味わいの生産者の、醸造手法の違いによるものでしょうか。

一般にヴィンテージの違いが出にくいといわれているエマニュエル・ルジェだそうですが、予想以上にヴィンテージの個性が強く現われていました。たぶん自然な抽出により醸造手法が、ヴィンテージの個性を強く出しているのではないかと思われます。 DSC04560[1]

同じ生産者の同じ畑のワインの中に、様々な発見のあった、興味深いテイスティングでした。

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