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冷涼ワインセミナー「新しいオーストラリア」

3月15日に西麻布のprovinageで開催された冷涼ワインセミナーのテーマは、「新しいオーストラリア」でした。自根、ビオ・ディナミ、混植混醸、無灌漑、天然酵母、無補酸、SO2無添加、など人為的な要素排除の要件に2以上該当する、ナチュラルなワインが田中克幸氏によりセレクトされました。 DSC00975

最近の先進的生産者によるきれいな酸味の、重心の高いエレガントな味わいのオーストラリアワインは、従来のオーストラリアワインの常識を覆すものでした。何しろ、オーストラリアではワインは完全に工業製品で、そもそもナチュラルなワインという概念自体を政府が認めていないそうです。 DSC00976

1番目のマーヴェリック・ブリーチェンズの白ワイン。バロッサのシャルドネ主体、ヴィオニエ、ルーサンヌ、セミヨンを混ぜたワイン。ビオ・ディナミ。ステンレス発酵の酸にキレのあるワイン。

2番目、しっとり落ち着いたニュアンスのリースリングはオーストラリア最大のリースリング生産者のグロセットGrossetのポーリッシュ・ヒル。クレア・ヴァレー北東部地域で栽培するブドウを使用。引き締まったミネラル感、しっかりとした酸味が感じられる。

3番目のワインは英国のスーパー・チェーン、マークス&スペンサーのPB、Hunter Valley Shiraz。実はハンターのセミヨンの最大生産者ティレルズ社Tyrrell’s WinesがOEMで造るものでwine makerは赤ワイン担当のMark Richardson。酸がしっかりとした、すっきりしたシラーズは、北ローヌのシラーのイメージに近く重心は上。地味でシンプル、ピュアな味わいでバロッサ・ヴァレーに良くあるものとはかなり違う。

4番目はバロッサ・ヴァレーのスピニフェックス・パピヨン。グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルといった南仏品種のブレンドですが、苺やクランベリーなど赤系果実の香りとピュアでエレガント、すっきりした味わい、重心は上で水平的。

5番目もバロッサ・ヴァレーで、カレスケ・クラリーズ。シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルといった南仏品種のブレンド。タンニンが滑らかで、余韻が長い。

6番目のチェンバース・ローズウッド・ヴィンヤード・グエ。チェンバースはヴィクトリア州の北東部のラザグレンの生産者、フォーティファイド・ワイン業界の帝王と称されるが、これはスティルワイン。品種のグエGouaisはこの品種とピノ・ノワールとの自然交配によって、シャルドネ、アリゴテ、ガメ、ムロン・ド・ブルゴーニュなどが生まれた。これらの親に当たる白ブドウの古代品種。Rutherglenは暑い土地だが、自根のブドウによるこのワインはアリゴテのようなきめの細かいテクスチュア。 DSC00977

7番目はビンディ・コンポジション・シャルドネ。冷涼地マセドンのブルゴーニュ・タイプのシャルドネ。オーガニック、自根、灌漑なし、自然酵母、補酸なし。砂岩・珪岩(石英)(重心上)と火山性の玄武岩(重心下)の2種類の土壌のブレンド。ミネラル感ときれいな酸、凝縮感がある味わいで余韻が長い。

8番目はホッフキルシュ・スタインブルック ピノ・ノワール。無灌漑、ビオ・ディナミ。無補酸、自根。かなり寒い味わいの、新世界らしさの全くないピノ・ノワール。

9番目のブレスBress・マセドン・ピノ・ノワール。こちらも特にピノ・ノワールが注目されている冷涼なマセドンの産。花崗岩の土壌。オーガニック、人為的なものを排したナチュラルなワイン。しかし、このワインは華やかで複雑性があり、しかも洗練された味わいで、本日最高峰。しかし日本では発売されていない。現地価格は40オーストラリアドル。

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重心が上のオーストラリアワインはチキン・パイの味にベストマッチでした。

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