湘南T-SITEに行ってきました。藤沢と辻堂の駅の中間、パナソニックの工場跡地の再開発エリアの一角にあります。T-SITEはCCCグループの蔦屋書店をキーテナントとする新しいタイプのショッピング・モールで、代官山、函館（厳密には1つの箱なので単なる蔦屋書店か）に続く3番目の出店です。（店内は写真撮影禁止のため写真は外観のみです。）
コンセプトとは一貫しています。スローライフ、スローフード、ロハス的な新しいライフスタイルを提案するショップ群を集めたショッピング・モール、あるいはライフスタイル・センターというのがふさわしいでしょう。
1号館の蔦屋書店は趣味やクリエイティブな活動による自己実現をサポートする店舗が集まっています。DVD、CD、本の販売とレンタルで一見普通のツタヤの店ですが、2階のヴィンテージ雑誌が並ぶ湘南ラウンジ、暮らしの手帖の創刊以来のバックナンバーなどヴィンテージ雑誌をコーヒーやワインを飲みながら読むことができます。趣味やエレクトロニクス関係の店が充実。デザイナーとコラボしたオリジナルアイテムを販売するデザインプ」ロダクトショップ「コンセント」も面白い。アップル製品を体感する「アップル・オーソライズド・リセラー」もあります。
2号館はスローフード・スローライフがテーマで、地域発信の食とライフスタイルをサポートしています。
料理に関する本はもちろん、池尻の予約の極めてとりにくいフレンチ「オギノ」荻野伸也シェフが展開するデリカ・ショップ「ターブル・オギノ」がスローフードのテイクアウトとイーインの店を出店。本格的なビストロフレンチのシャルキュトリーや野菜料理をテイクアウトできます。
すかいらーくの「サンクス・オン・ザ・テーブル」は地元湘南の食材にこだわったスローフード的次世代型ファミレス。
魚沼の酒蔵「八海山」がプロデュースする麹などの発酵食のブランドショップ「千年こうじや」や浅草合羽橋の料理道具店「釜浅商店」などかなりディープに食にこだわった店舗構成が面白い。伊勢丹がプロデュースするコスメのセレクトショップ「イセタン・ミラー」もあります。
3号館はファミリーがテーマ。親と子の多世代協働を実現する店舗構成で、新しい住宅街の中の店舗ということで、ここでは代官山T-SITEに無い新しいコンセプトを打ち出しています。本では動物別の写真集や作家別の絵本が豊富にそろっています。子供と共にスローフードをつくる湘南料理塾、食とものづくりができるスタジオの「スクエア・ラボ ファーメント」、英語で預かる学童保育「キッズ・デュオ」など、大人と子供の共同参加型のテナントが揃っています。地域のコミュニティの拠点もあります。
今までにない、スローライフ・スローフードの新しい湘南のライフスタイルがこの湘南T-SITEから発信されることが期待されます。
趣味による自己実現、クリエイティブな新しいライフスタイルの提案、地域のコミュニティ創造機能、高度な感性をもった質の高いテナントの数々、地域らしい食と生活文化を大切にするスローフード・スローライフ重視、多世代協働による食とものづくりと、今までになかった時代の先端を行く最高レベルの理念を掲げたショッピング・モールであり、従来の公民館や文化センター、コミュニティセンターに代わるものとして、公共としても担うべき機能を有するものではないかと思われます。公設民営として何らかのスキームで全国各地で実現できないものでしょうか。
8年前にオープンしたららぽーと横浜でも、開店した当初は手作りの工房などに多様なコンセプトの店がありましたが、先進的なコンセプトを持った店は採算が悪かったのか早々に閉めてしまいました。湘南T-SITEが地域の新しいライフスタイルの創造という理念を持続して、地域のコミュニティの拠点として存続することを期待したいと思います。