再びアルバへ
まだ夕食の時間まで時間があるため、運転手さんの配慮で再びアルバの街へ。
2時間前とは打って変わって街がにぎわっている。市民や観光客で通りはいっぱいだ。違う通りへ運転手さんが案内してくれたが、子供も含めて家族連れでにぎわっていた。1度目は店が12時から3時ころまで昼休みだったので、レストラン以外は静まり返っていたのだ。スペインやフランスのバスクでもそうだったが、イタリアでも2時半か3時ころまでは昼休みの店が多いようだ。この時間の観光は食事や大聖堂、博物館の見学に充てなければならない。商店街は本来の賑わいがないので注意を要する。
この町の狭い通りは中世の趣がある魅力的な街だ。黒トリュフの店やトリュフの加工品、様々なパスタやパンなどの店があって面白い。白トリュフTARTUFO BIANCOはまだ早いのだろうか。売っているのはサマー・トリュフの黒トリュフと加工品だった。
昼休みで閉めていたトリュフ店もオープンした。
【パンの店】
ラ・チャウ・デル・トルナヴェントLa Ciau Del Tornavento
この日の最後の目的地トレイゾTREISOへ。バルバレスコを産出する3つ目の村である。レストランのラ・チャウ・デル・トルナヴェントLa Ciau Del Tornaventoへ行くのが目的。午後6時だが、レストランはまだ扉があいておらず、日本人従業員のAYAさんから鍵をもらって、宿泊室に入る。このレストランは4室の宿泊室を備えたオーベルジュでもある。部屋はこのあたりの民家風の簡素な造りだが通常のホテル並みの設備がある。
【宿泊室内部】
このトレイゾの町もコンパクトだが、古い町並みはなく、道路も広く、このあたりは新市街のようである。レストランも他に1軒あるが、このあたりに店はほとんどない。霧が出てかなり気温も低くなってきた。晩秋のようである。周辺に広がるブドウ畑はかなりの急斜面にあり、下の方に広がっている。
ラ・チャウ・デル・トルナヴェントは前日のトリノのマゴラビンと同じミシュラン一つ星のレストラン。
http://www.laciaudeltornavento.it/ita
旅行前にこの店に勤めていた馬渡シェフの店、田町のリストランテ・ラ・チャウRistorante La ciau」http://www.laciau.com/
に行ってピエモンテ料理を経験してきた。
西麻布のトルナヴェントの小林シェフもこちらの店に勤めていたようだ。
http://www.tornavento.jp/index.htm
2店の名前を合わせると、こちらの店名になる。
かなり広いダイニングルームのほとんどのテーブルが埋まっている。外はひっそりとしているがダイニングルームはにぎわっていた。
ここはかなり料理のレベルが高い。伝統的なピエモンテ料理をベースにしながら、様々な工夫がなされ、さらに質的に洗練された味わいになっている。全体の味付けは塩分控えめで健康的。素材の味わいがよく表現されている。
この店では、日本人のAYAさんがサービスを担当してくれたこともあり、アラカルトで4皿注文してシェアしてもらう。
アミューズは冷たい前菜の盛り合わせと温かい前菜の盛り合わせという豪華な内容。
冷たい前菜は懐石料理のように繊細でエレガントな味わい、いわしも日本料理のように繊細だ。温かい前菜は、良い意味で前日の料理と似ている。ジャガイモや黒トリュフやタラなどのピンチョスのようなタパス。干しタラの黒トリュフをつけて揚げたバッカラがうまい。フリットはカラッと香ばしい。
辛口のスプマンテを出していただいた。スプマンテのほうが馴染みあるためか、料理によくあっていた。
次のエビフライの様なフリットもねっとりしておらず、日本のエビフライのようにカリッとしている。キッチンには日本人スタッフがいるとのこと。関係あるのだろうか。
仔牛のサラダ。カルネ・クルーダ、牛生肉のサラダはピエモンテの代表的な料理。玉子茸を合わせたサラダで新鮮な味わい。リンゴにマンゴーのソース。洗練された上品で繊細な味わいに仕上げられている。
ワインはお任せでグラスワインをお願いした。最初のワインはやさしい味わいのドルチェット・ダルバ2013。Montubertはバルバレスコの生産者。
パスタはアルバのこの季節しか食べられない白トリュフが入っているとのことで、タリオリーニのバター、白トリュフかけ‘Tagliolini’ pasta mountain milk butter and truffle。シンプルなパスタに、その場でスライスしてかけてくれる白トリュフの甘い香りが何ともいえない。白トリュフはそえるだけで+25ユーロ。バルベーラ・ダスティの1999年.熟成感がトリフに合う。
伝統料理で当店のスペシャリティ、アニョロッティ・デル・プリン。リコッタチーズを詰めたパスタ。チーズの深い香りとコクのある味わいに周囲の鳥の巣のような藁の青く香ばしい香りが風味を添える。ご当地のバルバレスコを合わせていただいた。
メインは仔牛のミラノ風、いわゆるミラノ風カツレツのイメージとは異なる。アルバ地方特産のヘーゼルナッツをまぶして揚げた上に炭火による香ばしい香りをつけている。ナッツィな香ばしさとボリューム感、サクサクした食感。これに合わせたのが、小樽で熟成させたモダン派バローロ。コンテルノ・ファンティーノ・バローロ・ソリ・ジネストラ。樽のスパイシーなロースト香が炭火が薫る衣の香ばしさによく合う。フレンチオークの小樽にて24ヶ月熟成。骨格のしっかりとした、香り豊かで深い味わい。
イタリア人ソムリエが担当だったが、最初に話をした日本人ソムリエから特に話が伝わっていたらしく、特別に良いワインを出していただいたようだ。
チーズにはウォッシュタイプとハード、白カビのソフトなタイプをオーダーする。今日開けたばかりというソフトなゴルゴンゾーラをサービスで出してくれたが、控えめな塩分で香りがエレガントでうまい。
モスカートのデザートワインは定番の組み合わせ。甘口のモスカート・ダスティ、ラ・モランディーナ2007La Morandina。
そして、小菓子盛り合わせ。これにはモスカート・ダスティの甘口微発泡、サラッコMoscato d’Asti 2013 Saraccoまで出していただき、大サービスでした。
翌朝の朝食もこのレストランで提供された。但し、メインのダイニングルームではなく、前室のウェイティングルームのようなへ部屋に、宿泊客のみの4組のテーブルが用意されてサービスされる。 当番の料理人1人がメニューを持ってきた。ハムやパンチェッタ、オムレツ、チーズ、フルーツのスライスといったシンプルなもの。
イタリア人の朝食は一般にシンプルなようで、卵などの温かい料理は食べないようだ。ホテルではどこでも卵料理は出ていたが、全体的にかなりシンプルであった。夜、8時以降の遅い時間帯にたくさん食べるから、その反動で朝は軽くなるのだろう。フランス人もシンプルだが、それ以上のような気がする。それにしても、ハム、サラミ、パンチェッタ、チーズのレベルはどこも高い。朝からチーズにワインを合わせたくなる。