いよいよバローロのワイン産地、ユネスコ世界遺産のランゲ丘陵に向かう。天候はあいにくの霧に小雨混じり。ランゲ地方の最高地点ラ・モッラLa Morra村の丘から、ランゲ丘陵を見下ろす。標高513m、天気が良ければランゲ丘陵の全貌が見渡せるはずの絶景ポイントだが、霧が深いため近くのブドウ畑がみえるだけだ。かなりの標高差があり起伏にとんだ丘陵のようである。
【ラ・モッラから見たランゲ丘陵】
ラ・モッラの展望台の表示板にはバローロやバルバレスコがあちらにと表されているのだが・・・。
ワイナリーは日本で予約したタクシー会社のMauro Giacosaが手配してくれていて事前に予約済みであった。まず、バローロ村のボルゴーニョcantine Borgognoへ。伝統的な街並みの続く村の中心部にある1761年設立のピエモンテで最も古い歴史を持つ名門醸造所である。2008年からファリネッティ家により経営され、現在のオーナーのオスカー・ファリネッティ氏は、伝統的なイタリア食材の普及活動にも力を入れ、スローフード運動に賛同している。日本にも店のあるトリノ発祥の食材店Eataly(イータリー)の設立者でもある。
【セラーの一角にある博物館コーナー】
【大樽で熟成中のバローロ2011LISTE】 家族経営だが、かなりの規模のワイナリーで、内部にはエレベータも備えた見学コースがある。スラヴォニアン・オークの大樽で熟成させる伝統的で自然な醸造法によりつくれるクラシックタイプのバローロで、小樽(バリック)は一切使用しない。ブドウも化学肥料を使わない自然な方法で栽培されている。1961年以降の古いヴィンテージのワインも地下のカーヴで熟成させていて、随時出荷している。
LANGHE NEBBIOLO、BAROLO LISTE, BAROLO RISERVAなどを試飲したが、ピュアできめ細かいタンニンの凝縮感のある味わいは、伝統派のバローロ独特のもの。早飲み用のLANGHE NEBBIOLOはピュアな果実感があり、軽く口当たりの良いフレンドリーなワインであった。
エレベータで上がった屋上からはバローロの街並みや斜面のブドウ畑を見渡すことができ、なかなかの良い眺めであった。
バローロの街並みもコンパクトだが、土産物屋などはなく、落ち着いた雰囲気がある。
次にセッラルンガ・ダルバSerralunga d’Alba村を訪れる。ここには大手のフォンタナフレッダのワイナリーがある。ストライプの独特のデザインの建物はかなり規模が大きい。
このセッラルンガ・ダルバSerralunga d’Alba村の中心部へ。この村の城Il Castello di Serralungaも立派だが、教会の尖塔のある街並みが美しい。高品質なバローロを造る村だが、観光客は少なく、落ち着いた良い雰囲気だ。
グリンツァーネ・カヴールGrinzane Cavourの城Castelloへ
イタリア統一の立役者で統一イタリアの初代首相のカミッロ・カヴールが若い頃に住んでいた城で、ピエモンテ州主催の白トリュフの世界オークション会場として有名な城である。丘の上に聳えたつ立派な構えの城で、ランゲの博物館としてワインなどの地域の特産品の拠点となっているようだ。日本人で訪れたことのある人は少ないだろう。 城からの眺めも霧がなければ、かなり良さそうである。 カミッロ・カヴールの居城であったことを記した銘板。 城の外ではネッビオーロが収穫を待っていた。
アルバ(その1)
ランゲ丘陵からこの地域の中心都市アルバへ向かう。この街も中世の面影が深くのころ古都である。町の中心にあるサン・ロレンツォ大聖堂に車をとめて、こちらで1時間後に待ち合わせることにする。
町は静かで、ブラほどの賑わいはなかった。後でわかったのだが、昼休みの時間で店が開いていないことによるものだった。この町は世界的な美食の街といわれている。 白トリュフの産地として有名で、10月に開催される白トリュフ祭りには世界中から観光客が訪れるという。 街の中にもトリュフを売る店があった。(下の写真の左にある犬も看板の店)イタリアに8店しかないミシュラン3星のレストランの一つ、PIAZZA DUOMOはその名の通り大聖堂の近くにあった。狭い路地のわかりにくい場所にある、地味なたたずまいの店である。ミシュラン3つ星レストランとしては一番地味な外観の店かもしれない。紙に印刷した手作りのメニューがピンで外の掲示板に張ってあった。コースメニューは150ユーロから200ユーロ、けっして安くはない。
一度訪れてみたいものだ。とりあえず、ALBAの街は1時間で切り上げ、バルバレスコのワイナリーを訪れる。
バルバレスコBARBARESCO
バローロと並ぶピエモンテを代表する赤ワイン、DOCGバルバレスコの産地エリアはアルバの東方向の地区の3つの村で構成される。
小規模の家族経営のワイナリーであるが、近代的で清潔な醸造所である。といっても12haのブドウ畑を持ち、年間65000本のワインを生産している。畑はバルバレスコ村とネイヴェ村にある。バルバレスコ村のブドウを使ったバルバレスコ・ブリック・バリンとネイヴェ村のブドウを使ったバルバレスコ・バサリンがDOCGのメイン。
Borgognoと異なり、バルバレスコは温度管理可能なステンレスで発酵、フレンチオークの小さい樽による熟成のモダンなスタイル。やや甘く柔らかい味わいでフレンドリーなワインである。バルバレスコはセラーで28ユーロと価格もお手頃である。オーナーの娘さんで醸造担当のマルチナ・ミヌートMartina Minutoさんが熱心に説明してくれた。ドルチェット・ダルバ、バルベーラ・ダルバ、ランゲ・ネッビオーロ、バルバレスコの2種を試飲。どれもやさしくフレンドリーな味わいであった。
ワインの名前は有名だがバルバレスコの街はかなり小さい。
これがバルバレスコの市庁舎。市庁舎広場に教会ののように見えるのは、実はENOTECA。Enoteca Regionale del Barbaresco http://www.enotecadelbarbaresco.it/
サン·ドナートの奉仕団の建物だったもので、バルバレスコ・ワインの普及促進のために設けられたものである。バルバレスコのワイナリーのワインを購入できる。
世界的に有名でイタリア最高(価格と質)のGAJAのワイナリーは街の中心にある。規模は決して大きくはないが、ここから世界中の高級レストランに出荷されている。
ネイヴェ村NEIVE