清澄白河で前回は日本の伝統文化の街を訪れましたが、今回は最近話題の焙煎コーヒーとワインの注目スポットを回ってみました。
(昨年のブログ「深川・清澄界隈」)
http://uemuraakifumi.com/gourmet/4280
まず、地下鉄の清澄白河駅に近い清洲橋通り沿いにある久五郎ワインテーブルへ。この店の上野浩輔 氏は門前仲町にある都市型ワイナリー「深川ワイナリー」の醸造責任者もされているということでしたが、この日はテイスティングイベントのため入店できませんでした。残念!
次に訪れたのが、もうひとつの深川のワイナリー「清澄白河フジマル醸造所」です。ワインショップ FUJIMARUを経営するパピーユという会社の大阪の島之内フジマル醸造所に続く2つ目の醸造所です。
まず、2階のレストランへ。ランチタイムも夜と共通のアラカルトメニューです。
シェフはピエモンテ生まれのイタリア人ニコラス・カピッツィNicholas Capizzi氏。アメリカ、オレゴン州のポートランドのレストランを経て来日、横浜のサローネ2007などを経て、昨年からこのレストランのシェフをつとめています。
ホタテのポワレ ゴルゴンゾーラとビーツのソース。半生にソテーされたホタテが甘く、下に敷かれたゴルゴンーゾーラさらには甘いビーツと優しい酸味のブルーベリーが複雑な味わい。見た目に色合いが美しい皿でした。
ワインは清澄白河フジマル醸造所の今年の新酒生樽の山形県産のデラウェアとナイアガラヌーヴォーをまずいただきました。いずれも1階のワイナリーで出来立てのワイン、フレッシュで生き生きとした酸味に低アルコールでスリムな味わいのワインです。
ブッラータ&プロシュート。モッツアレラのなかに生クリームが詰まったブッラータと生ハムの盛り合わせ。生ハムをクリーミーなチーズに絡ませて食べます。ワインによく合う一品。
シャルキュトリー・プレート。北海道十勝の食肉加工「エレゾ」のエゾシカなどを使ったサラミなどの盛り合わせです。パテが絶品です。
赤ワインは、清澄白河フジマル醸造所の山梨県産メルロー2015とシェフの出身地ピエモンテのア・ユズキ! (トリンケーロ・ピエモンテ/バルベーラ)を。メルローは色が淡く、味わいもライトでロゼワインのようなニュアンスもありますが、ちょっとスパイシーでいろいろな料理に合いそうです。
右側がメルローです。かなり色が違います。バルベーラは果実味が豊かで優しい味わいです。
シェフのおすすめ料理の一つ、トリュフとパルミジャーノのリゾット。季節の代表的なピエモンテの味覚、黒トリュフ「ウンチナート」がいっぱいにかかったリゾット。シェフの出身のピエモンテの料理だけあって、最高の出来です。リゾットはパルミジャーノが程よいコクと深みのある味わい。黒トリュフの香りがいっぱいで、シンプルながら滋味豊かで、満足の一皿です。
ワインに合う料理というだけでなく、イタリア料理として完成度の高い本格的な料理をいただくことができます。クリエイティブで繊細な味わいの料理は、街のイタリアンとは一線を画す料理で、ミシュランの星付きレストランんPレベルに近いものです。お値段も同じレベルですが、ディナーも同じメニューなので、ランチタイムも良くあるパスタランチのセットのような手抜きがなく、かえって昼から本格的なイタリア料理として使えるのではないでしょうか。
食事のあと1階の醸造所を案内していただきました。O-TWO ASSISTの除梗破砕機、フランス産の熟成用木樽のバリック、ステンレスの発酵槽やポリバケツのような開放型の発酵槽、エアープレス、バスケットプレスなど。狭い部屋に醸造設備が並んでいました。
醸造所の見学はレストランで食事をした人に限っているようです。都市型ワイナリーは、全国各地の農家と提携しながらワイン用ブドウを使って醸造を行っています。都市住民にワイン生産の現場を知っていただくとともに、ワイン醸造の研修の場として、今後役割が拡大することが期待されます。
フジマル醸造所から戻って角にある古今というセレクト雑貨の店。なかなかおしゃれな店で、代官山や青山の雰囲気です。お店の方とブルーボトルコーヒーの一号店など外資系のコーヒー店が進出して、街の雰囲気が変わってきたとのこと。地図をもらって街歩きをしました。
ARiSE COFFEE ROASTERSはブルーボトルオープン前の2013年にオープンした店だそうです。わずか6席のみ、コーヒー通の間で評価が高いようです。
http://arisecoffee.jp/
昨年2月にオープンした、ブルーボトルコーヒー 清澄白河 ロースタリー&カフェ。 急速に拡大中のカリフォルニア発のコーヒーチェーンの一号店。スターバックスなどのシアトル系に続く、いわゆるサード–ウェーブのコーヒー店、ワインのように豆のテロワールを重視し、豆の個性を引き出す抽出法によりコーヒーを提供するというコンセプトです。ブルーボトルコーヒー 清澄白河 ロースタリー&カフェ品川駅のアトレにもオープンしたばかりですが、こちらの店は大変な行列ができています。店の外で飲む人も。醤油っぽい味には賛否両論あるそうですが。
こちらはパスして、ニュージーランド発のサード–ウェーブコーヒー、Allpress Espresso東京ロースタリー & カフェ。豆の焙煎から行うエスプレッソの専門店です。かつての木材倉庫を改造した店には巨大な焙煎機が工場のようにあります。カプチーノを注文。シナモンではなくチョコレートパウダーが使われています。低めの温度の柔らかい味わいです。
清澄白河はコーヒーだけではありません。甘味の店もたくさんあります。
ブリジェラBRIGELAはブリオッシュの間にジェラートを挟んだ、ブリオッシュ・コン・ジェラート専門店で、日本発だそうです。
ブリジェラの並び、うなぎ天ぷら「あやめ」の隣にはしゃれたケーキ屋さんアンヴデットEN VEDETTEがあります。清澄白河を象徴する光景。10月にオープン。店内には、少々高めですが、小ぶりの美しいケーキが並んでいました。
木場公園にある東京都現代美術館は依然として改修工事のため休館中です。
この前の三つ目通りと清洲橋通りの角のマンションのビルの1階にあるのがパティスリ―・アンドゥpatisserie un deux。アンヴデットよりはカジュアルな雰囲気の店。生クリームのたっぷり入ったロールケーキ清澄ロールがこの店の名物です。
コルネ清澄白河は天然酵母のパンの店です。3人程度しか入れない狭い店が混んでいます。Allpress Espressoのパンはこちらの店のものだそうです。
深川資料館通りの西側には庶民的な店が並んでいます。焼き鳥の鳥満の看板猫デブ猫トン平は向かいの和菓子店に遊びに行っていました。
清澄庭園、深川江戸資料館と深川めし、 東京都現代美術館とコーヒー焙煎カフェ、ワイン醸造所。伝統とトレンドの入り混じった街、清澄白河でした。かなり魅力的です。