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こうざき酒蔵祭り

千葉県神崎町は成田市と香取市(合併前の佐原市などから構成)の間にある全国どこにでもありそうな農村地帯にある人口6000人の町です。利根川沿いにあり300年以上続く2軒の酒蔵や味噌、醤油などの醸造業が盛んなことから、「発酵の里こうざき」をキーワードとして地域おこしに取り組んできました。

その年一回のイベントが酒蔵祭りです。その端緒となったのは「仁勇」「不動」の二つのブランドを持つ酒蔵鍋店(なべだな)が始めた酒蔵祭りです。現在は自然酒で有名な寺田本店も加わり、2つの酒蔵を中心に200店舗の発酵食品や地元野菜、手作り食品、飲食、雑貨などを売る露店が出店、ステージではバンドやプロ歌手によるミニコンサートや踊りが披露されています。

今回は臨時特急列車「こうざき酒蔵祭り」で新宿から向かいました。満席です。

千葉駅を出発すると窓の外は突然田園風景に変わり、佐倉、成田を過ぎて意外に早く下総神崎駅に着きました。

まずは鍋店の仁勇蔵祭りへ。

大変な人出です。無料試飲会場は長蛇の列です。

ここではまず酒蔵見学へ。蒸米をいただくことができます。特に味が変わっているわけではありません。少し硬かったのは、時間がたっているからでしょうか。

 

白衣を着て蔵の中へ。

蒸煮原料冷却器と記載されています。連続蒸米器と連続蒸米冷却器が合体したものでしょう。

 

上槽は珍しい袋吊りとヤブタによる搾りたての八千代桜を飲み比べさせていただきました。

全く同じスペックですが、袋吊りのほうが酒質はかなりやわらかく感じられます。

麹室も入ることができるのは貴重です。麹の時間の製麹の過程における変化がよくわかります。 一般に大きな木の箱が二つあります。

次は、酒母室です。山廃は今季は終了とのことで、速醸酛が7日目の発酵中で、泡が立っているのが見えました。基本は底のヒーターを使って暖気をこなうそうです。

醪の発酵は大きなホーロータンクで行われています。 混雑する鍋店を出てコート・デュ・ローヌが300円でも結構おいしいです。あらびきソーセージ醤油麹焼き。ちょっとしょっぱいですが、ワインには合います。

続いてお蔵フェスタ会場の寺田本家へ。有料試飲のチケットを販売していましたが、ますは蔵見学へ。スタッフが1時間待ちといっていましたが、30分かかることなく蔵へ入ることができました。杜氏にご案内いただきました。きわめてわかりやすく丁寧な解説です。こちらも、麹室や酒母室も案内いただきました。しかも白衣なしです。自然酒をうたい全量生酛、蔵付酵母、自家製麹といった徹底的に自然な手造りにこだわった蔵です。こんな人を入れていいのかなと、ちょっと心配になりました。

洗米用の半切り桶は金属製です。吟醸酒は洗米ざるを使って限定吸水をするそうです。

こちらも麹室に案内いただきました。1日目の床と2日目に麹を移し替える簀の張った新床です。

生酛造りの蔵ならではの酛摺り用の半切り桶と櫂、初めて見ました。酛摺り唄う摺り唄、歌の回数で時間を図り酛の状態により回数を調整するそうです。単調で力の入る仕事の景気づけという意味だけではないようです。

暖気樽(だきだる)と酒母タンクでの壺台(つぼだい)。たくさん並んだステンレス製の暖気樽。手作りにこだわっています。こちらは木製ではありませんが。

醪タンクはホーロー製ですが、一つだけ木桶があります。たくさん微生物が生息する木桶は、管理が難しそうですが、さすが自然酒の寺田本家です。木桶は一つだけですので木桶仕込は貴重ですね。

サーマルタンクも2本ありました。これは見せてはいけなったのか。

このあと自然派日本酒を試飲しました。菩提もと仕込みの醍醐のしずくは飲んだことがありますが、他の日本酒も醍醐のしずくほどではないもののかなりの個性派ぞろいです。大吟醸でも蔵独特の香りと味わいです。かなり好みが分かれるでしょう。木桶仕込も試飲しましたが、複雑な味わいです。 続いてフジハン醤油に行きました。明治10年創業の醤油蔵です。

このあとは、道の駅「発酵の里こうざき」へ。利根川沿いの道を歩いて30分、徒歩ではちょっと厳しい単調な道のりです。

道の駅の近くには観光いちご園もありました。

駐車場は車で一杯、大変な賑わいです。酒蔵祭りとは関係のない客のようです。

レエトランはセルフサービスですが客単価少し高めのようです。発酵定食は売り切れで魚の定食に。銚子港で水揚げされた様々な魚の刺身、煮物、フライが楽しめました。

メインの売店「発酵市場」は発酵食品が全国から集められていて、たくさんの観光客が買っていきます。確かに面白いものがいくつかありました。東京でも全国各地の名産品をそろえた店が増え、八海山の八海醸造グループの展開する「千年こうじや」は発酵のコンセプトで全国から食品をそろえているので、全国から足を運んでもらうためには、もう少し品数を増やしてほしいところです。

生鮮コーナーでは地元野菜や銚子漁港で水揚げされた魚が並べられていました。こちらは全国の道の駅の産直コーナーでよくみられる光景です。

タクシーを呼んで酒蔵祭りへ。祭りはほぼ終了です。サバの燻製を買って下総神崎駅へ。成田行きが大変な混雑です。酒蔵祭りは成田市民が多いのか、あるいは京成電車で成田で乗り換えて来場した人が多いのか。実はこの地方の地元の祭りとして人気を集めているのではないかと推測されます。露店も地元の手作り感のあるものが多かったようです。

5時間余りの年1回限りの祭りでしたが、地元の誇りとして、発酵の里をアピールする効果はかなりあると思います。ただ、通年観光やインバウンドによる来訪者を増やし、交流人口の拡大による経済の活性化につなげるためには、今後の戦略がさらに必要かと思われます。

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