5月3日に大阪府柏原市のカタシモワイナリーで開催されたワイナリー見学会に行ってきました。
大正3年創業の大阪府柏原市にある老舗ワイナリーです。自社農園で減農薬・有機肥料で栽培されているぶどうを使っているそうです。
カタシモワイナリーを運営するカタシモワインフードサービスの高井社長からワイナリーで概略を説明いただいたあと、ぶどう畑をご案内いただきました。
100年前昭和初期には「大阪が日本一のぶどうの産地」であり、ぶどう栽培面積は日本一を誇った時代もありましたが、現在は他のぶどう産地ほどの知名度はなく、畑、生産量とも縮小しています。しかし、現在でも大阪府はぶどう栽培が盛んで、全国第9位の収穫量(5,140トン)を誇るぶどう産地であり、特に主力品種のデラウエアでは、収穫量全国第3位です。
大阪ワイナリー協会には現在7つのワイナリーが所属していて、共同でイベントを開催しています。高井社長は、ワインに対する理解を深めてファンを増やすため、イベントを頻繁に開催されています。この日の見学会も満席になり、キャンセル待ちが30人ほどとのことでした。
ワイナリーのある太平寺という集落、黒壁の風格のある民家が続いています。黒壁は戦時中の空襲対策がそのまま残ったとのこと。
清浄泉という湧水は空海が井戸を掘り起こしたとの言い伝えがあり、周辺の飲食店が業務用に水を汲みに来るとのこと。量は制限があります。
1300年前、河内六寺「知識寺」がこの井戸の近くにあり、 東大寺の大仏のもととなるより大きな仏像があったとのこと。五重塔も立っていて、そのあとの立派な礎石がありました。途中の民家にはぶどうの模様の入った瓦がありました。ぶどうづくりの歴史を感じます。
ぶどう畑は急斜面にあります。生産農家の高齢化が進み、平均年齢も80歳以上、400人以上のボランティアの参加によってぶどう栽培が成り立っている現状です。
かつては現在住宅地となっている平地にもぶどう畑が広がっていたとのことですが、都市化や相続などにより平地の住宅地に近いぶどう畑が減少する一方で、あらたなぶどう畑を山の斜面の急な場所に切り開いています。
八尾のフレンチレストラン、ボンシィクが育てているぶどう畑もあります。畑の中にはウッドテラスもあって、ぶどうの棚の下でボンシィク主催のランチ会が開催されているとのことです。
ぶどう園には古木のぶどうがありました。今年で枯れてしまうだろうという古木もあり、ぶどう作りの長い歴史を感じさせます。
雨が多いため、ビニールハウスで雨を遮る畑もありました。
近くにマンションが建つこのあたりでもイノシシによる被害があるそうです。
1時間余りぶどう畑を歩いた後、カタシモワイナリ本社古民家のホールで食事会です。
まず、デラウェアの泡、定番のタコシャンからスタートです。
次が珍しいキャンベルアーリーの赤スパークリングはちょっと甘口でジューシーです。
樹齢30年の自社農園で栽培された堅下本葡萄(甲州ぶどう)を原料とした白ワインはコクがあり深い味わいです。
樽熟成のマスカットベリーAは落ち着いた大人の味わいです。
ボンシィク特製のフレンチ弁当、魚や肉などバラエティに富んだ内容でワインにとても合っていました。
食事会の後は柏原ワイン販売所に伺いました。
高井社長のぶどう栽培とワイン醸造に対する情熱、大阪産のワインに対する理解を深めるための努力は本当に素晴らしいものがあり、感動しました。