京都の烏丸御池のビジネス街からは少し入ったところに懐石料理の名店です。間口の狭い鉄筋の建物でありながら、路地の奥の玄関、長い廊下など京料亭の趣があります。
伝統店でありながら、ご主人高橋拓児氏は日本料理の改革にも積極的で、ソムリエ資格を取得しワインに合ったワイン献立を考案。本日はこれをいただきました。
栗渋皮煮の白和え 車エビ
クリーミーな栗の白和えにプリプリした車海老の食感。栗、銀杏など季節アイテムが揃い、いきなりボリューム感と濃厚な味わいがある料理です。ワインは泡に合いそうな料理ですが、泡、シャンパーニュもボトルでないとオーダーできないのが残念なところです。
黒マグロの炙り
黒マグロの炙り
お魚の器に盛られているのは。黒マグロの炙り、土佐造り風の細切り大根などで和えた一皿です。高級食材を敢えて調理して、ワインに合う料理に仕立てています。
クエの薄造り
クエの薄造り
お刺身はクエの薄造り、豪華です。高級魚ならではの上品な味わい、ふぐよりは味が濃く少し脂の甘さを感じます。
蟹真丈碗
本来、懐石ではお碗のところですので、繊細な出汁を味わうところですが、こちらは椀ダネが主役です。真丈は滑らかなホタテと蟹のすり身の中に蟹のほぐし身と蟹味噌が詰まっています。はじめに昆布と鰹でとった杉のような香りのきれいな出汁をじっくり味わった後、真丈へ。そうしないと蟹味噌で出汁の香りが変わってしまいます。
真丈は蟹味噌と蟹の香りが口中いっぱいに広がります。出汁をフランス料理のソース、温かいテリーヌのように蟹のメインを味わう感覚です。ボトルのふくよかで上品なアルベール・グリヴォーのムルソー・クロ・デュ・ミュルジュ2015が最高に合う料理でした。田崎さんと高橋さんの共著「和食とワインに「蟹真丈碗 蟹味噌仕立て」が出てきますが、こちらは汁に蟹味噌を溶かしています。その後綺麗な出汁を楽しんだ後、蟹味噌のソースを溶かして2度楽しめるように料理の設計が変わったようです。
穴子の天ぷら、安納芋添え
外が香ばしく軽やかで中がジューシーな穴子天。さわやかなキュウリのソースでいただきます。食感が素晴らしく、ワインにも合います。安納芋も濃厚です。
ふかひれ胡麻豆腐の鍋
当店の名物料理。炙ったフカヒレと胡麻豆腐を胡麻豆腐で土鍋で煮込んだ革命的料理。金華ハム、利尻昆布などで取った出汁は中華料理のふかひれの姿煮ほどこってり感はなく、繊細です。ふかひれの繊維感と胡麻豆腐のもちもちとボリューミーな食感が対照的でした。存在感のある胡麻豆腐がメインかもしれません。
食事は菊芋御飯と赤出汁。
コナッツミルク風味の水菓子。
ワインは意外にもペアリングは用意されておらず、15000円以下の比較的低価格で割安感のあるワインが揃っています。ソムリエはいないようですが抜栓などサービスは仲居さんが手際よくやってくれます。
このコースは八寸がないのが特徴、酢の物もありません。
このコースは八寸がないのが特徴、酢の物もありません。
料理がワインに合っているか微妙なところですが、個室でゆっくりとした時間を楽しむことができました。