台中の駅からタクシーでかなり時間のかかる西のエリアにあります。高層ビル群のさらに西、新興住宅地のおしゃれな商店街にこの店はあります。1階はカジュアルなイタリアンで相当賑わっていましたが、2階のこのレストランは他に1組の客が来ていただけでした。
テーブルの上ではキャンドルの灯りがともり。いい雰囲気です。
シンガポール出身のシェフ ジミー・リムが、シンガポールの伝統的な食文化を進化させ、台湾の食材と融合させながらイノベーティブ料理を作ります。
Dinner Menu “Experience Menu”(NTD $3800 + 10%)に
Wine Pairing3杯NTD $1700をオ-ダーしました。
STREET BITES
6種類のアミューズガ2皿ずつサービスされます。メニューにあるのは5種類です。
Cucumber、Pineapple、Tohu、Cashew Sauce
シンガポールの伝統料理のクエ・パイティーという料理をアレンジしたアミューズ。タルトで包まれた豆腐の上にキュウリとパイナップルのミックスにカシューナッツのソース。
Nasturtium, Cabbage, Spring Onion
蓮の葉に似ているナスタチウム(キンレンカ(金蓮花))という葉っぱが載っている料理。食べる部分のキャベツと春玉ねぎは隠されていますが、さわやかなハーブの香り、味わいはかなり濃厚です。
Mahi Mahi,Shrimps,Lemongrass
マヒマヒという魚のすり身に海老、レモングラスは共に、海老トーストを再構築したような料理ですが、マンゴーなど酸味と甘みの濃厚なソースが深い味わいとなっています。
Black Pepper”Crab”
シンガポール料理のカニ料理といえばチリクラブですが、もう一つの蟹料理のブラックペッパークラブ、黒コショウで炒めた蟹です。こちらは香草やエディブルフラワーと合わせていただきます。
Bafun Uni, Papaya, Sweet potato
北海道産のバフンウニがパパイヤの上に寿司のようにのっています。台のパパイヤは単なる器です。日本人的には意表を突いた組み合わせですが、バフンウニの濃厚なテクスチュアと発酵したサツマイモの旨味とパパイアの甘さ、胡椒、海の香りがマッチします。
メニューにないアミューズが一つ。
海老の並んだ頭を器にした海老味噌とパクチーが絡んでいます。
Bak Chor Mee
Abalone,Foie Gras,Shitake,Enoki
アワビ、フォワグラ、シイタケ、エノキ
漢字では肉脞面肉脞面/バクチョー・ミー)。シンガポールの屋台料理にある椎茸のはいった豚ひき肉麺の再構築。下の方にあるエノキをヌードルに見立てて、繊細なアワビと椎茸のスライス、フォワグラがボリューム感を出しています。椎茸のスープの味わいが濃厚です。繊細な中にボリューム感を添え、味わいのバランスの取れた一皿でした。
ここでワインはスパークリングから白へ。
Chili Crab
Local Crab,Squid,Coconut,Torch,Ginger
カニのほかにイカやココナッツ、トーチ、ジンジャー。
カニの甲羅に入っているのはシンガポール名物のチリクラブの再構築です。トムヤンクンのような酸味と辛味の効いたサワークリーム、レモングラスの凝縮したスパイシーな香りと発酵食品の旨味を加えた蟹肉の味わいはかなり複雑です。感動の逸品です。
Teochew Fish Sou
Fish of the Day,sping onion,
Ginger
本日の魚と春玉ねぎ、しょうがのスープ。シンガポールの貧しかった時代に骨しか食べられなかった人々がいたというストーリーを皿で語っています。旨味の凝縮したなかに優しい滋味豊かな味わいがあり、ほっとする料理です。
Everything“Stinky”
Fish Sauce, Caramel glazes“CHAR SIEW” Beef Short Rib, Fish,Jicama, Petai ,Green Sambal,
チャーシューに塗った蜂蜜のように甘さのあるFish Sauce Caramelを塗ってパリっと焼いています。トッピングの砕いたナッツとサンバルソースが食感と味わいの複雑性を与え、付け合わせのプテという東南アジアの豆。トッピングは梨のようなヒカマのスライス。メインの肉を重く感じさせない様々な仕掛けを施した、香りと味わいの芸術です。
THE FORGOTTEN BLOSSOMS
Banana Blossom from Huallian, Fermented Banana Curry
竹炭の混じったクレープで巻いて食べる海老は、フルーティーでスパイシーなバナナカレーはココナッツカレーソースのラクサを再構築したようなボリューミーなニュアンスもあり、南インド料理のようなスパイシーさもあります。かなり感動的な味わいです。
Small Sweets
YawKun Kopi Tiam
シンガポールの朝食をイメージした小デザート。カヤいうココナッツミルクと玉子のペーストにコーヒーパウダーがかかっています。
Bandung
ホワイトチョコレートのなかにトロピカルなアイスクリーム。美しいです。
Watermelon Pumpkin Passionfruit
黄色いスイカの上に甘いかぼちゃとパッションフルーツの爽やかさ。小さな花がエレガントです。
Logan Toffee
わらび餅風の和菓子にも通ずるアジア的なデザートです。器もアジアです。
Cheng Teng
Red Dates,Lotus Seed,Malva Nut,Barley,Wolfberry
シンガポールの漢方薬膳スープのデザートです。ちょっとかき氷風です。
シェフの思い出にあるシンガポール料理の伝統、文化をリスペクトし、ベースにしながら、北欧料理の発酵食材などのシェフの経験が反映された料理が、様々な形で美しく表現されています。高度な技術と美的なセンスが感じられました。特にシンガポール料理をモダンに再構築した料理は素晴らしかったです。ワインのペアリングはもう少し面白くても良かったと思います。アジアンエスニックのファンとしては特に満足度の高いレストランでした。台中はミシュランのエリアに入っていませんが、2つ星クラスのレストランになるでしょう。アジアのベスト50レストラン入りも期待されます。
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