唯一のミシュランガイド台北3ツ星レストランは、世界的にも数少ないミシュラン3つ星の中華料理店です。フランス語の店名ですが、広東料理のレストランです。台北駅の北側にあるパレ・デ・シンホテル(台北君品酒店)(Palais de Chine Hotel) のメインダイニングです。
広東式ローストダックコースなどの焼き物が有名ですが、2日以上前に要予約の上、量も6人前とのこと。
鮑。ツバメの巣などの高級食材を使った料理もありますが、かなり高価です。しかもこの9月から値上げしたようで、2500台湾ドルからあったコースなどほぼ1.5倍となっていて、1万円台から8万円程度のミシュランコースまであります。
いずれにせよ、この店はオーダーが重要です。Webなどでの評判メニューを調査して準備万端、オーダーすることにしました。
テーブルには厚いお茶のリストがありました。
テーブルのセットも豪華です。
ウェルカムドリンクは食前酢です。
ワインリストは南アメリカのものがなぜか多いです。イタリアのピエモンテが多いのですが、ブルゴーニュは少ないです。ピノ・ノワールはほとんどありませんでしたが、料理には合うと思われたので、クラウディ・ベイのピノノワールを選びました。
料理は点心からサービスされます。チャーシューメロンパンは時間がかかるので後からサービスされるとのこと。
金銀蛋蒜香莧菜餃
Steamed Chinese Spinach and Salty Egg Dumplings
ピータン、塩漬け卵とヒユナの蒸し餃子
非常にエレガントな味わいの餃子。半透明の皮がとろけるように滑らかな食感です。ほうれん草の一種のヒユナにピータンの複雑性のある味わいが加わり、肉類はないですが、ソフトなテクスチュアの中に野菜のサクサク感もあり、発酵食品の旨味がアクセントとなっています。
鮑魚雞肉燒賣
Steamed Dumplings with Abalone and Chicken
アワビをトッピングした鶏肉シューマイ。
2時間煮込んだ小さな鮑と鶏肉の焼売。エビ、黒トリュフなどが使われ上品な味わいです。鮑は意外に普通でしたが、肉焼売は味わいが複雑です。3個で580NTDと1個700円近い価格はコスト・パフォーマンス的には厳しいです。
蝦籽海鮮豆腐煲
Braised Seafood and Tofu with Shrimp Sauce
シーフードと豆腐の土鍋
ミシュランでも取り上げられていましたが、これはお勧めです。揚げた絹ごし豆腐のきめ細かくソフトなテクスチュアと海鮮の旨味が凝縮された、アメリケーヌソースのような海老の旨味が凝縮された、ビスクのソースが最高の味わいです。大きめのホタテやエビも新鮮でぷりぷりと弾力性に富んだ食感と味わい。でも主役はあくまでも豆腐です。おこげ寸前の鍋の底付近の凝縮されたタレはそれだけ別に食べても感動的。かすかに薫る五香粉が台湾を感じさせます。
金瑤炒龍筋
Wok-Fried Pork Tendon with Bell Peppers
豚スジとパプリカの辛味炒め
豚スジといっても豚の喉肉の炒め物です。
他では味わえない食材を使ったオリジナリティあふれる料理、まさに食感を楽しむ料理です。コリコリした独特の食感の豚の部位。ホルモンの一部のようでもありますが、ちょっと旨味があって、ピリ辛で引き締まったほどよい味わいです。
強哥炒米粉
Wok-Fried Rice Noodles with Crab Meat and Eggs
シェフ特製炒めビーフン
素晴らしかった料理。チャーハンの倍くらいの価格は5000円近い。
まず食感が素晴らしい。軽い絹の糸やクモの糸のように軽く、ふんわりとした空気のような食感。超繊細なテクスチュアです。ビーフンのイメージを変える料理です。一方、蟹肉に玉ねぎ、もやしなど普通の食材をビーフンに絡めて、旨味や甲殻類の香ばしさなどから魔法のような独自の料理の世界をつくっています。油は少ないにもかかわらず、しっとり軽やかで、味わいも軽く、シェフ特製のビーフンだけのことはあります。価格も5000円近く、チャーハンの2倍程度と最高レベル。この価格のビーフンをオーダーするのはある意味勇気が必要ですが、後悔はしない逸品です。量は多いので多人数でシェアが望ましい。
酥皮焗叉燒包
Baked Barbecue Pork Bun
チャーシュー入りメロンパン
日本も進出している添好運の名物メニュー。30分以上調理に時間がかかるためコースの後半にサービスされました。このレストラン。基本的には一度注文しても、順次、進み具合を配慮して一品ずつサービスされ、進行管理が素晴らしいです。
ちょっと日本人的にはチャーシュー餡が甘く、とろける食感。台湾料理の一つの特色ですが、何か辛みのアクセントが欲しいところです。香港のミシュラン1つ星有名店、添好運で食べた時の感動はありませんでした。
原味蛋塔
Baked Egg Tart
エッグタルト
最後に出していただいたデザートです。熱々で出来立てをいただきました。パサパサ感はないが、きめ細かいサクサク感が素晴らしい。卵はとろっとクリーミーできめ細かい。
きわめてサービスレベルは高いです。常にサービス担当が客の動きを注視していて、抜かりないサービスが提供されます。中国料理では最高レベルで、高度な気配りです。インテリアも豪華で気品があり、オーセンティックなホテルのメインダイニングとしてふさわしい気品を感じます。
2人の量としてはやや多すぎるオーダーでしたが、台湾の一般のレストランと同様に持ち帰りも当然できます。台湾ではフードロスにしっかり対応しています。ただ、メニュー選択がかなり難しく、多人数で数多いメニューを選ぶのが無難です。4人以上の場合は事前予約の必要なシグニチュアディッシュのローストダックコースやチャーシューがお薦めだと思います。
ワインは新世界中心で、チリなどの南米の種類が多かったです。フランスはボルドー中心ですが、料理の繊細さや甘さなどからピノ・ノワールや北米のものがあっても良いと思います。この日は数少ないピノ・ノワールからクラウデイベイのピノを合わせましたが、オ・ボン・クリマなど北米のピノがあったら選んだと思います。
メニューの選択を間違えなければ、コスト・パフォーマンスの良い世界最高レベルの広東料理のレストランと言えるでしょう。