世界のファインダイニングのシェフを招く期間限定のレストラン「COOK JAPAN PROJECT」。東京・日本橋のコレド日本橋アネックスで、バンコクに2018年8月にオープンしたヒルトンの最上級プランドの5ツ星ホテル 「 ウォルド-フ・アストリア ・バンコク」のレストラン 「 Front Room (フロント ・ルーム)」 の総料理長であるタイ人女性シェフ、ルンギワ ・ チュモンコンさんが初来日して、素晴らしい料理を作ってくれました。
デンマークの3つ星ビスレストランNomaやGeraniumやドイツなどで活躍、タイに帰国したシェフです。
Amuses
イクラと乳化させたブロッコリーのクルスタード
見た目もかわいらしいいくらのアミューズ。
さつまいものチップス 山梨産王林 ピーナッツクリーム
かなり日本人的には大胆な組み合わせですが、細かく刻んだりんごに存在感があり、不思議に全体が調和しているアミューズです。
三陸産生ガキと発酵させた桑の実
ミルキーな生ガキが柔らかい酸味の桑の実と相性が良いです。
100%Milk
焦がしミルク 北海道産ホタテ
ハーブエマルジョン
100%の牛乳でつくった焦がしミルクのシートを、クレープのように北海道産の炙ったホタテを香味野菜とともに手で包んで、口いっぱいに広がるジューシーで風味豊かな食感を楽しみました。ベトナム料理のようなアジア料理らしい新しい発見があります。
Hokkaido
士別産仔羊のタルタル タイ北部のスパイス
紫大根のピクルス
スパイシーな子羊のタルタル。ジンギスカンとは違うエレガントな北海道の味とタイ北部内陸のスパイスの融合です。
Ishikawa
石川県珠洲産スズキ ココナッツ ブロッコリー
タイカレーソース
お花のリースのようなきれいな一皿です。ココナッツやアジアンスパイス、タイの風土と海でつながる日本海のスズキが癒合した、独特な世界です。
Fukuoka
福岡産白イカ 冬瓜のスープ ガーリックオイル
生に近い繊細な味わいの白イカにあとから注いでいただいた魚醬などの複雑な味わいの旨味の効いたスープ、かなり上品です。
Chiba
千葉県銚子漁港産ノドグロ 北海道産雲丹 新潟県産茶豆のピューレ オニオンチップス 長野県産ゴールドラッシュ
高級食材のノドグロと雲丹にオニオンチップスと焼きとうもろこしというカジュアルな食材、意表を突いた食材の盛り合わせが日本人的には新鮮です。あとから発酵大豆のソースをかけていただきました。発酵食品によってクリスピーでミネラルな統一感のある素材の味わいを引き立てています。
Yamagata
山形県産黒家和牛 群馬県産まいたけ
長野県産サマーアスパラガス
牛肉の王様山形産和牛にはオリエンタルな甘さとちょっとスパイシーなソースです。今までになかった組み合わせですが、黒毛和牛の甘くジューシーで濃厚な味わいによく合います。
Refreshing
高知県産青ゆずの酸味のあるアイスクリーム レモングラスのソルベ 抹茶クランブル
底に敷いた香ばしいクランブルした抹茶の食感がユニークで、色々使えそうです・
Red and White
ライスムース 山梨県産白鳳桃のソルベ
桃のピュレ ホワイトチョコレートのムース
ライスのムースは初めての体験です。東南アジアでは穀物系のデザートが普通にありますが、日本では和食以外のデザートにはめったに登場しません。程よい甘さがエレガント。デザートの一皿として、もっとあってもよさそうです。
Sweet by Bit
ピーチゼリー 柚子と塩
ライスポップ はちみつとゴマ
ミニャルディーズまで上品なアジアのテイストが楽しめました。
初来日というのに日本の食材をこれだけ理解して、季節の食材を生かしたクリエイティブな料理を作ることができるということ、料理人としての実力を感じさせます。特に北欧、デンマークで鍛えられたニュー・ノルディック・キュジーヌの発酵系の料理と祖国タイのハーブやスパイスを多用した料理がベーシックなフレンチの技術に加わって、さらに素材の組み合わせにより、料理の可能性を最大限に引き出しています。タイのウォルド-フ・アストリア ・バンコクのレストランでは1万円程度でこの素晴らしい料理のコース楽しめるようです。来年のミシュラン掲載やアジアのベストレストランに登場する前に是非現地を訪れて味わいたいです。