NO IMAGE

臼杵の街を歩く

  • 2019年6月13日
  • 2019年6月13日
  • グルメ
  • 8view

臼杵は観光ガイドには大きく出ている観光地ではありませんが、国宝の摩崖仏、臼杵城跡などの史跡・文化財、伝統的な街並みが残る石畳の市街地の散策、ふぐなどの食といった、バランスの良いコンテンツが豊富でゆっくりと時間をかけて見る価値があります。しかも中心市街地がJRの臼杵駅から歩いて行けるところにあるのも魅力的です。今回は時間の都合により摩崖仏は断念し、市街地を中心に見ることにしました。

臼杵城跡
まず駅を出て臼杵城跡へ。戦国大名大友宗麟が築城した臼杵城の城跡には天守閣はありませんが、石垣などが残っていて、復元された大門櫓などの建物と共に、かつての城郭の雰囲気を残しています。四国の八幡浜からのフェリーの着く臼杵港や海も見えます。


城跡には臼杵護国神社もあります。西南戦争による旧臼杵藩士の死者の霊を祀っています。

復元された櫓や門に、曲がりくねった白い石塀や石垣は、濠と共にかつての城の雰囲気をよく残しています。


法面を固めたコンクリートの吹き付け工事は、石垣を組むなど何とかしてほしいところです。

臼杵市観光交流プラザ
臼杵市の観光拠点施設です。総合観光案内所や観光情報案内コーナー、ホール、ギャラリーなどが整備されています。臼杵城跡と旧市街地を結ぶ絶好の場所にあります。


市民も集い交流できる中心市街地のにぎわいの場としてに位置づけもされていて、市街地散策の拠点となっています。



ゴールデンウィークのこの日は2019春のうすき食フェスが開催され、地元のほか、愛媛県八幡浜や長崎県平戸の海の幸、山の幸を使った料理が並び、近隣の人々で賑わっていました。

   

稲葉家下屋敷
明治維新後東京に居を移した旧臼杵藩主稲葉家の別邸として建てられたそうですが、指定文化財となっています。


荘田平五郎記念 臼杵こども図書館
稲葉家下屋敷の隣にあります。臼杵市出身の三菱財閥幹部の荘田平五郎氏が図書館として寄贈した建物で、子ども図書館として利用されています。大正の木造建築です。

石畳の中心市街地
稲葉家下屋敷に近い唐人町から浜町への道は石畳の道にふぐ料理店などの飲食店が並び風情があります。ふぐ料理の木屋は3600円のふぐ御膳など大衆的なフグ割烹で観光客に人気があるようです。


自動車も通りますが、交通量は少なく街歩きには快適な石畳の街です。

久屋の大蔵は1860年創業の造り酒屋一の井手久家本店がかつて貯蔵庫として使用していた酒蔵です。蔵内部の青色の装飾タイル壁画アズレージョはポルトガルと臼杵の交流を物語っています。向かいには久家本店の直営店満寿屋があります。

こちらから南の方に向かうと中華料理の白楽天があります。


メガネの豊福の交差点では臼杵のメインストリート八町大路と交わります。


ここは狭い道をそのまままっすぐ進みます。右側には法音寺の門が見えます。

突き当りを右に曲がると、このあたりからが、二王座歴史の道です。多くの寺が集まっていて、白壁の家屋と黒瓦の家並み、石垣・石畳が歴史を感じさせます。




さらに行くと石垣が迫る切通です。西南戦争などかつての戦争が行われた地だそうです。道が曲がりくねって両側が迫ってきたのが蛇坂です。歴史的な街並みがずっと続いていて、自動車も通らず、静かに散策できる道です。


天正十四年(1586)島津軍が臼杵に侵攻した甚吉坂の戦いのあった甚吉阪を下ると金毘羅水があります。金毘羅神社の岩盤をくり抜いて掘られた井戸だそうです。


坂を下ったところは臼杵の八町の一つ田町です。落ち着いた感じの商人町です。


三浦家住宅は昭和初期の民家、大工の腕が最も優れていた時だそうです。



しばらく歩き、自動車の通る臼杵停車場線に出ると、左側には龍源寺の三重塔が見えます。

八町大路
この道路を北に向かい、八町大路の入り口に出ます。ここから八町大路を歩いていきます。かつてはアーケードで覆われていた普通の商店街でしたが、平成15年にアーケードは撤去され、両側の建物も伝統的な姿に復元され、情緒あふれる通りとなっています。アーケード撤去後も賑わいを続けているという意味では貴重な商店街です。



きものの赤穂屋は美しい店構えで、お抹茶もいただくことができます。



農民カフェではランチもいただけます。商店街に随所に質の高いお休みどころがあるのは、街歩きにとても重要なことで、中心市街地の魅力アップにつながります。


うさぎ茶屋は残念ながらしばらく休業中でした。

メガネの豊福の交差点に戻ってきました。昼食時になり人通りが増えてきました。

こだわり本舗てくの屋は、ガイドブックにも掲載されている、ソフトクリームで有名な店ですが、令和を待たず平成31年3月30日17時をもって閉店しました。

加藤椎茸店は椎茸専門店です。臼杵せんべいもあります。

味噌の富士屋甚兵衛。「おいしい味噌の計り売りを始めたました。」とのこと。たぶん復活でしょう。臼杵名物しょうゆソフト、どんな味なのでしょうか。



カニ(可児)醤油は慶長5年(1600年)創業で、屋号は鑰屋(かぎや) 。美濃から入封した稲葉氏の先遣隊として送り込まれた可児傳右衛門が興した醤油店で、400年余り同じ場所、同じ建物で味噌と醤油を作って売っています。こちらではしょうゆソフトに対抗して(?)みそソフトを売っています。商店街のほぼ中心にあって、土産に醤油などを買う客で商店街随一のにぎわいです。


サーラ・デ・うすきは八町大路にある観光拠点です。休憩ができるほか各種イベントも開催されます。

普通の生活に密着した店と伝統的な地域産品を売る店が混在し、飲食店、土産物店もあり、なかなか味わいのある商店街です。

ソフトクリームはすでに名物化していますが、河豚の串焼きなど、食べ歩きの食のコンテンツが増えると、さらに人気の通りとなるでしょう。可児醤油など土産になる地場産品の店や農民カフェ、うさぎ茶屋(病気療養で休業中)など休憩できるスポットもあり、バランスの良い商店街で、ゆっくりと街歩きが楽しめます。

お城の前の公園にある臼杵市出身の吉丸一昌先生の銅像と早春賦の歌碑です。

 

山田屋臼杵本店

臼杵の食の宝ともいうべきふぐの店。全国からこの店のフグを食べに食通たちが集まってくる店です。2週間前の予約にもかかわらず、何とか広間の席が取れたのですが、この日はキャンセルが出たのか個室に案内いただきました。畳の部屋に椅子を置いたバリアフリーの席です。

お昼は7000円のミニコースもありますが、夜と共通のコースも用意され、一番上の白子焼きが付くコースにしました。ふぐ寿司は必須と思われるので、真中の12000円のコースでもいいのではないかと思います。詳細は別のブログでお伝えします。



港町本通り

八町大路から港町本通りに向かいます。城跡下の大手門公園にあるのは臼杵市出身の吉丸一昌先生のブロンズ像と早春賦の歌碑です。香港在住の吉野夫妻が、2017年に個人として制作、贈呈されたもので、既に建てられている「早春賦」歌碑とともに移築、建立されました。



山田屋のある八町大路から続く港町商店街は、臼杵城跡の南側の臼杵駅から旧市街へのアクセス路ですが、少し寂しい人通りです。


自然にレトロとなった昭和を思わせる店が続いています。

  今は懐かしい詰襟のカンコー学生服とセーラー服も臼杵では健在です。



臼杵駅やフェリー港から中心部へのアクセス路でもあり、道路の石畳舗装化や店舗のリノベ―ションなど手を加えれば魅力度の高い通りとなるでしょう。現状では自動車の交通量がかなりあるのが散策路としては難点です。

市街地観光としての臼杵市
臼杵の中心市街地は、街歩きの魅力がかなりのレベルにあると思います。理由として、

駅から近いにもかかわらず。歴史的な街並みの広がりが大きいこと。
城下町特有の変化に富んだ迷路のような道路があること。
石畳の歩道空間は自動車交通が少なく、歩きやすいこと。
臼杵市観光交流プラザ、サーラ・デ・うすきといった街中の観光交流拠点の存在。
バランスの良い商店構成の歴史的雰囲気のある商店街。

一方、改善を要する点もあります。

カジュアルな食コンテンツの不足(ふぐ焼き、ふぐ天、ふぐから揚げの串など)。
SNSなどの情報発信、プロモーション戦略の不足(台湾、欧米豪への戦略的発信)。
ホテル、旅館など宿泊施設の不足(ナイトタイムエコノミーの充実)。
臼杵城跡の施設整備による魅力化。
臼杵駅からのアクセスとしての港町商店街の魅力度アップ。
地域資源を活用した特産品の開発。

伝統的な日本家屋が集まった趣のある中心市街地、地場産品などの商店、食資源など都市観光地としての魅力度が高く、潜在的な観光資源が豊富な臼杵市です。このようなところは全国的に珍しいだけに、今後の戦略いかんでは九州を代表する国際観光都市に変身する可能性が高いと考えます。

 

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!

グルメの最新記事8件

>ご相談・お問い合わせ

ご相談・お問い合わせ

各主宰団体等についてメールでお気軽にお問い合わせください。
Mail:uemura@rrpf.jp

CTR IMG