沼津市の岡宮、沼津東高校の門前にあるそば店。この高校は私の母校ですが、このそば店に入ったことはありませんでした。
この店は南信州の上村産の玄蕎麦を使用しています。上村の在来種、機械を使わない完全手刈り、天日干しだそうで、日本で最も高価で希少な玄蕎麦の一つだそうです。信州そばといっても外国産や県外産が多い中で、この店は上村のほぼ全域の玄蕎麦(殻付の蕎麦)を買い入れ、毎日使う分を脱穀して、4時間以上かけて重石臼を使って、手挽きで製粉しているとのことです。
出汁は枕崎産鰹節と羅臼昆布という最高の組み合わせ、宮城県中新田産の吟醸醤油、愛知県碧南市産味醂、天城本沢わさびなどすべてが吟味された最高の食材を使用しています。上村は長野県最南端の村でしたが、編入合併により現在は飯田市になっています。
季節のおかず盛り合わせ。刺身こんにゃく、茄子、ひじきの白和え、胡瓜、牛蒡、茹でた蕎麦の実、エゴマのお浸し、いずれも淡い味付けで、滋味に富んだ野菜の甘さと旨みが感じられました。
天せいろの天ぷらには有頭海老の頭が別にカリカリに揚がっていました。
季節の野菜天ぷらは大葉、トウモロコシ、茗荷、苦瓜、カボチャ、茄子、人参の葉、など岩塩、藻塩など3種類の塩が付きます。
蕎麦の香りが豊かで、コシとキレのあるそばでした。漬物は糠の香りが豊かで、旨味に富んだ、最近ではほとんど食べられない貴重な逸品でした。
この店には、日本のスローフードが凝縮されています。日本酒を飲みながらゆっくりと蕎麦と料理を楽しみたい店です。沼津の食文化の奥の深さを感じさせます。