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成田山初詣 鰻と羊羹と街づくり

今年の初詣は、今まで一度も訪れたことのなかった成田山新勝寺に行きました。成田山のアクセスは京成とJRどちらの成田駅からも可能です。行きは京成、帰りはJRにしました。JR上野駅の不忍口から地下通路を通って京成上野駅へ、ちょっと距離があります。こちらから成田空港行きの特急で向かいます。2010年からスカイライナーは成田スカイアクセス線経由となり、京成成田には止まらなくなったため、京成線経由の特急で行かなければなりません。約70分かかります。

キャリーバッグを引いている外国人の旅行者もわずかにいますが、客は少ない寂しい駅です。しかし次の日暮里駅からJRからの乗り換え客で満席になります。成田までは、先が長いので上野から乗るのが正解です。船橋駅から明らかに初詣客と思われる人々が多数乗り込み、佐倉駅を過ぎるあたりではかなりの混雑です。

京成成田駅から脇の細い道を行くとJR成田駅から続く成田山新勝寺の表参道に出ます。ここから成田山新勝寺まで参道がずっと続いています。

初詣客で参道はごった返しています。土産物店や鰻店、天ぷら店などの飲食店や、羊羹、せんべい店など参拝客をターゲットにした店が多いですが、地元向けの生活に密着した店もかなりあります。

千葉県最高の特産品、ピーナッツの店がかなりあります。

初詣客の中では目立っていませんが、通常時は外国人のインバウンドが多いためか、着物のレンタルもありました。

歴史を感じる建物も多く、3階建ての木造建築が目立ちます。初詣以外の時期にゆっくりと街歩きをするのも良いでしょう。この伝統家屋の秋山堂は楽器と時計の店です。

長命泉の株式会社滝沢本店は創業明治5年の日本酒の蔵元です。

看板が立派な成田屋は履物店です。建物は伝統建築物風ですが、地元の生活に密着した店も結構あり、地元商店街としても役割を果たしていることがうかがえます。

下田康生堂ぱん茶屋はうなぎパンで有名な店のようです。店の脇には街づくり発祥の地の石碑がありました。外貨の両替もやっているようです。
成田市では平成8年度から、この上町地区から表参道整備事業を開始しているようです。セットバックによる歩道の整備やファザード整備事業による景観の統一、伝統的建築物等修景整備事業による歴史的景観の復元を行っています。この山田厚生堂ぱん茶屋も、かつてこの事業により電気店のファザードを取り除いて、歴史的な景観を復元しています。平成8年度から地元街づくり団体4団体と市が協働で、まちづくりに取り組んでいることは素晴らしいことで、まさに街づくり発祥の地ということができるでしょう。

https://www.city.narita.chiba.jp/environment/page184400.html

サニーズというパブ・レストランとフォーレというベトナム料理レストランも瓦をあしらった日本的なファザードです。

時計台の櫓があるのは消防団の建物です。

柳谷本店は創業明治30年の和菓子店。米屋と並ぶ羊羹の老舗ですが、こちらの方が2年早い創業です。

漢方薬局の下田康生堂。こちらでは漢方ツアーがあるようです。皆さん事業に熱心です。
鰻店に長い行列ができています。鰻が成田の名物のようです。初詣と鰻という恒例の行事となっているのでしょう。川豊本店と駿河屋が老舗で大人気のようです。川豊本店では整理券を渡していました。300分待ちとのこと。参拝時間だけでは時間がかなり余ります。

新勝寺に近づくと木造3階建ての建物が増えます。

行列ができていて、こちらは参拝客の行列の最後尾とのこと。

寺の門をくぐると本殿までさらに幅広い行列になります。
高さのある石段がかなりきついです。

本殿が大きな真中の列と両端の列を交互に進ませています。かなりシステムがしっかりとしています。他の初詣の神社仏閣に比べると人の数の割にはスムースな流れです。

国指定重要文化財の豪華絢爛な三重塔もあり、格調高い境内です。

参拝を終えて右に方に抜けるとおみくじのコーナーがあります。引くと吉でした。

お寺の裏手には公園があります。梅林がありますが、花はまだ早いようです。下の方には池も見え、散策には良いところです。

参道にもどって駅の方に向かいます。

参道で目立っている大きな建物は羊羹の米屋です。店内は土産物を買う客で大変な混雑です。全国的に有名な羊羹店ですが、こちらが本社だそうです。店の裏には工場のほか、成田羊羹資料館があります。羊羹の博物館としては全国唯一ではないでしょうか。全国の主要羊羹店や羊羹の歴史などの展示がありました。1階では企画展として「和菓子のレトロ掛け紙展」を開催していました。

 

羊羹の歴史は、羊羹が蒸羊羹から現在の練り羊羹が生まれたのは、寒天の発明によるとのことでした。勉強になります。全国の主要羊羹店、北海道の六花亭や千秋庵、白松がモナカ本舗、小布施の3社、虎屋、金沢の森八などが掲載された羊羹地図も展示され、羊羹資料館としての完成度は高いです。入場無料。

 

食事は名物の鰻と思いましたが、参道の鰻店はどこも長蛇の列です。

JR成田駅の西口にも鰻店があるということで、そちらに行ってみることにしました。

駅前はどこにでもありそうな普通の地方都市で、特に商店街などの繁華街はないようです。

参道から橋上駅舎であるJR成田駅の反対側が西口で、まっすぐ道路が続いています。

ちょっと駅から歩いたところにある川豊西口館、かなりの規模の鉄筋3階建ての建物です。

鰻店らしくない風情ですが、こちらにたくさんの人が来ています。空席待ちの名簿を見ると、20組近くが待っていました。こちらの店は規模が大きいだけでなく、鰻のほか天ぷらや刺身などの日本料理のメニューが揃っています。また、多人数で会食可能な大広間があり、このため、正月の食事を家族や友人と共にするためのグループの利用が多く、記載された人数を見てみると10人程度の団体も少なくありません。

約1時間後、ようやく呼ばれて2階の座席に。大広間です。

鰻は少し小ぶりですが、炭火で焼いた香ばしさが何とも言えない。やや甘く軟らかくジューシーな鰻でした。

帰りはJR成田線から総武線を経由する快速に乗りました。1時間に1本のダイヤです。グリーン車は快適で、旅行気分でした。

 

成田の総括

成田山新勝寺という全国レベルの宗教・観光コンテンツ、成田空港というインバウンドインフラ、JRと京成という公共交通インフラと素晴らしい環境にあります。

それに加えて重要なコンテンツとして、鰻店と羊羹に代表される和菓子といういずれも伝統の食ビジネスがあり、しかもそれぞれ複数のライバルが切磋琢磨してレベルの高いものとなっています。

さらに、街づくりに関する公民連携の取り組みは特筆すべきものがあります。地元街づくり団体4団体と成田市が協働で進めている表参道整備事業は開始から20年以上経過し、現在も進められています。歩道の整備やファザード整備などよる歴史的景観の統一、復元の取り組みは、特に外国人観光客にとって魅力ある街を作っています。

このように、歴史・文化、食、街の空間づくりの3点セットが魅力ある街づくりの必須アイテムであり、これらに加えて、事業を推進する意欲ある人材と街歩きインフラとしての公共交通がまちづくりの基盤として重要です。成田表参道地区はこれらをすべて満足し、門前町という歴史文化環境に加えて、地域の人々の取り組みが成果となって表れている好事例ではないかと思われます。

 

 

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