赤倉観光ホテルは、創業は1937年(昭和12年)という、80年の伝統のある日本を代表するリゾートホテルです。しかも温泉、フランス料理のディナーもいただけるという素晴らしホテルです。当時の大倉財閥が上高地帝国ホテル・川奈ホテルに続けて建てたとのこと。
ホテルが建つ場所は標高1000mという妙高山の中腹にあります。眼下に雲海が広がるという、景観の魅力は「死ぬまでに行きたい!世界の絶景ホテル編」に紹介されています。
2008年には全室・和食レストラン等がリニューアルされ、さらに2009年12月12日には、露天風呂付の大浴場と、スパサロン、露天温泉付きの客室が新築オープしています。歴史は古く皇族もたびたび訪れています。
野尻湖側の客室の窓からは雲海の山を望むことができます。妙高山側の部屋もあるので、予約の際は注意が必要です。
今回は一年の疲れをいやそうと12月の唯一日程が取れる日曜の宿泊、本館のスタンダードな洋室を3週間ほど前に予約しました。12月15日からスキーシーズンに入っているのでやや高めですが、この季節は雲海出現率は高く、雪山も見られるシーズンです。
長野新幹線が開通したため、東京からのアクセスは格段に改善されています。長野駅まで1時間余り。ここから並行在来線として信越本線が民営化された、しなの鉄道で40分余りで妙高高原駅に着きます(新幹線の上越妙高駅はかなりと多いので注意)。ここからタクシーか送迎バスで約10分で雲海の上のリゾート温泉ホテルに到着します。この日は長野地方少し雪が舞う程度でしたが、長野から新潟に入るあたりから激しい雪、妙高高原駅は猛吹雪で、送迎バスは予約で満席のため、タクシーで向かいました。かなりの積雪でホテルに向かう道路では除雪が間に合わず、立ち往生している一般車両が見受けられました。
吹雪の中からホテルに入ると、ロビーにはクリスマスツリーが飾られ、家族連れも多く、外とは一転して暖かい雰囲気です。
このホテル、名前は温泉ホテルのようだですが、シティホテル並みのサービスを受けることができます。かなりサービスレベルは高いです。ロビーではコーヒーをセルフサービスで無料でいただけます。
客室はシティーホテルの雰囲気です。
温泉は広くはありませんが、露天風呂も付いていて、ゆっくりできました。かなり快適です。本館からSPA&SUITEに向かう渡り廊下が寒いのが難点です。
まだ日暮れ前でしたが、外は吹雪で雲海どころか山も見えませんでした。
食事前にアペリティフをアクアテラスに併設するアクアバーでいただきました。いい雰囲気です。
食事はフランス料理を選択。メインダイニングの「ソルビエ」です。オーセンティックフレンチということで、ひと昔前のフレンチを予想しましたが、かなりモダンな要素も取り入れられていて、重すぎず洗練されたフレンチでした。
ワインリストも東京の本格的フレンチにはかないませんが、まあまあそろっています。特に新潟県産のワインが別のリストとなっていて、岩の原、カーブ・ドッチ、フェルミエなど揃っていました。この日はフルボトルをオーダーするこにしました。エルマール マセラシオン 2016、アルバリーニョの果皮まで醸して樽熟成させたワインです。アルバリーニョの独特のリンゴのニュアンスや果皮からのタンニンが溶け合ったクリアなオレンジワインです。味わい的にはピノ・ノワール的な複雑な味わいとなっていて、魚料理から肉料理まで合わせることができるので、コースで合わせるには最適です。
Hors-d’œuvre du jour 本日のシェフおすすめ前菜
カブのブランマンジェ、ヘベスのヴィネグレット
カブの香りが優しく上品な一品です。スダチやカボスのような柑橘であるヘベスの爽やかな酸味がアクセントをつけています。
Potage du jour 本日のポタージュ
茸のポタージュは舞茸を中心とした数種の茸がおりなす複雑な味わいです。
Consommé
伝統のビーフコンソメスープ。
まさにオーセンティックフレンチの定番。ピュアで奥の深い味わいに歴史を感じさせます。
Mérou poêlé, sauce beurre blanc 日本海産マハタのポアレ ブールブランソース
これはまさに伝統的フレンチでした。海が近い妙高高原は魚が新鮮です。
Entrecôte sauté, sauce “Akakura Shoyu” 国産牛サーロインのソテー 赤倉醤油ソース
赤倉醤油ソースが重くなく、モダンなフレンチとなっています。和牛ではない国産牛ですが、ほどよい脂で味わいはジューシーで濃厚です。
Filet de porc ibérique et lard rôti, sauce herb fond de veau イベリコ豚フィレ肉とラルドのロースト 香草フォンドヴォーソース
牛肉と比べると味わいは軽い。国産豚でも良いかと思われます。
Dessert 本日のデザート
苺とピスタチオのコンポジション、バルサミコソースピスタチオのアイスクリームが濃厚な味わいです。軽やかなムースと対照的です。
ディナーの後は再びアクアバーでカクテルを楽しみました。
翌日は前日の猛吹雪が嘘のような晴天でした。東向きのホテルの部屋の窓から斑尾山やその志賀高原の山々を望むことができます。
温泉から朝日が昇るのを見ることができます。(温泉では撮影禁止のため、部屋からの展望です。) 飲み残しのワインを飲みながら雲海の上の日の出を鑑賞しました。
朝食は旬彩ダイニング「白樺」で日本海からの新鮮な海の幸や山の幸など旬の食材を使った多彩な料理を朝からいただきました。新潟産コシヒカリのご飯も絶品です。窓際席のまどからは雲海やスキーを楽しむ人を見ることができました。
部屋に戻ってゲレンデの向こうの雲海に聳える、中央の斑尾山に左の岩菅山や右の横手山を眺めます。
プールサイドにラウンジのある、アクアテラスに出ると水の向こうに雲海と雪山をくつろぎながら見ることができます。海があるように見えますが、間にあるのはプールです。昼近くまで、雲海のパノラマをゆっくりと楽しみました。
スタッフのサービスも充実していました。
唯一の難点はエレベーターが狭かったこと。車椅子も入れないでしょう。これは全面改修が必要なため、改善は難しいのでしょうか。