「秋篠の森 なず菜」は、近鉄の大和西大寺から奈良交通「押熊行き」のバスに乗って10分ちょっとの「平城中山」で下車、さらに徒歩5分という奈良市の郊外にある和食のレストランです。ミシュラン一つ星を獲得しています。
この店は香川県高松市出身の空間コーディネーター石村由紀子さんが、奈良市のカフェ「くるみの木」に続いて、2004年7月7日に秋篠寺に近いペンション跡を改装して、ホテル、レストラン、ギャラリーなどの複合店としてオープンした「秋篠の森」にあります。
石村さんは出身地の高松市の丸亀町商店街の再開発に関わり、その核テナントの一つであるカフェ、ギャラリー、雑貨店を兼ねた店舗「まちのシューレ963」をプロデュースするなど、自然を取り入れた店舗の空間デザインで全国の商品デザインや街づくりのプロジェクトに関わっています。
そのプロデュースした店舗のひとつである、「秋篠の森」の料理店「食の円居 なず菜」は、石村さんの空間デザインや商品デザインに関するコンセプトが、食に表現された店ということができるでしょう。大きく開かれた窓からは秋篠の森の四季の移ろいを感じることができます。
ダイニングルームのインテリアやテーブルウェアにも石村さんのデザインコンセプトが感じられます。ランチのコースは2種類。大和野菜など奈良県の食材を中心にした4品は共通で、3240円のコースは季節の揚げ物が5種類付きます。このコースは夜にはありませんがお得感のあるコースだと思ます。
お酒は奈良県の地酒や梅酒、ワインがあります。今回は奈良県の大手酒造メーカー春鹿のときめきという微発泡性純米酒を頼みました。ボトルではなくて陶器製の器で出されるところがお洒落です。
紫大根のすり流
紫大根をすりおろしたスープです。ほのかな甘さが感じられます。
大和ポークの角煮、烏播(ウーハン)実山椒マッシュ添え
豚角煮で青梗菜も添えられていますが、中華料理によくあるような五香粉や八角の香りはなく、日本的な優しい味わいです。ウーハンのマッシュが下にあります。
炙り帆立と黄カリフラワーのシャンパンジュレ
この店のスペシャリテ。シャンパングラスの中に、刻んだ炙り帆立と黄カリフラワーにシャンパンのジュレが入っています。繊細で上品な味わいの逸品です。
太葱、赤蕪、一夜干しいかの葛うどんパスタ
吉野葛を練り込んだ細麺の流麗な食感の葛うどんの和風パスタです。ジューシーな太葱の食感、いかとパスタのつるつした絡みが滑らかでエレガントです。
季節の揚げ物5種類
筒井蓮根
大和郡山市の筒井城の堀跡の豊富な地下水で育てられる蓮根。甘い。塩は3種類用意されていますが、これにはカレー塩を付けていただきます。
太刀魚の梅肉大葉包み揚げ
鱧のように淡白な味わいの太刀魚で梅肉と大場を包んで揚げたもの。ジューシーな味わい。
まこもだけの香煎揚げ
まこもだけは黒穂菌が寄生して巨大化したイネ科の植物マコモの芽ですが、タケノコのような食感、トウモロコシのような香りがあります。シャキッと香ばしくエレガントな味わいです。
菊芋のパン粉揚げ
パン粉はかなりきめ細かいですが、ほくほくとコロッケのような味わいです。
長芋、おかひじき、わさび菜のかき揚げ
シャキシャキした長芋と最近ちょっと流行しているおかひじき、ピリッと辛味のあるわさび菜のかき揚げは、ご飯に合わせて出されました。
ご版 奈良県産 浅井農園ひのひかり
みそ汁 嶋田味噌 麹醸造元の無添加合わせ味噌
香の物
林檎のゼリー
今月の奈良産食材「紫大根、大和ポーク、烏播、日野野菜、黄カリフラワー、太葱、赤蕪、筒井蓮根」とメニューに記述がありあした。
晩秋の秋篠の森を見ながら、快適で洗練された環境の中でゆったりと過ごすことができます。料理は大和野菜など奈良県産の食材を中心とした、新鮮さとテロワールを感じるもの。奈良の風土を感じるひと時でした。