スペインバスク地方の中心都市、ビルバオの現代美術の美術館として有名なゲッゲンハイム美術館にあるレストランneruaネルアは、ミシュラン1つ星のレストランです。この美術館にはレストランのほかビストロもありますが、こちらのレストランはサン・セバスチャンの3つ星レストラン、マルティン・ベラサテギがプロデュースし、スペインの若手で注目される料理人ホセアン・マルティネス・アリハJosean Martínez Alijaがシェフをつとめるレストランです。
ディナー・タイムは8時30分からで、既に美術館は閉館しているため、クモのオブジェの近くの入り口から入ります。まず、ダイニングルームに入る前に厨房を案内していただきました。一見普通の厨房ですが、良く見ると見慣れない機器がありました。これが例のマルティン・ベラサテギの分子料理に使う機器なのでしょうか。
ダイニングルームは白を基調とした清潔感のある部屋です。メニューはデギュスタシオン・コースが2種類ありましたが、アラカルトから選ぶことにしました。
アペリティフはルイ・ロデレール・ブリュット・プルミエを。
鰻の稚魚のような、シラウオのようなアミューズ。
前菜はキノコ、野菜のスライスとブラジルコーヒーHongos, lágrimas de verduras y café de Brasil深い香りと味わいのある季節のキノコと野菜が、煮汁をベースにしてコーヒーを合わせた濃厚なソースで和えられています。
ロブスターとアンディーブのコンフィBogavante Endibia Confitadaロブスターの香ばしい香りとしこしこした食感、爽やかなソース。これは少量ながら凝縮感のある味わいです。
イカのコンフィChipirones Confitadosは小さいイカが丸ごとスパイシーにコンフィされています。ちょっと縁日の屋台で見られるイカ焼きのようで、素材がシンプルなだけに、これだけ量があると飽きてきます。
ハタ、ローズマリーとカブのピクルス添えMero al Romero(Grouper with rosemary,pickled turnip)。淡白な味わいの白身魚が、ハーブの香りのソースとともに、皮はカリッとしていて、身はふんわりジューシーな食感です。
子羊のあばら肉、発芽米とニンジン、マスタードRack of lamb, rice germe with carrots and mustardは大きな塊のように出されましたが、ロール状になっていて、肉質は柔らかくジューシーでした。
イチゴ、紅茶のアイスクリームとケフィア(ヨーグルトきのこ)Strawberries black tea icecream and kefir
ピュアなチョコレートとスパイシーなマジパンのサンドChocolate puro, arena picante de mazapán
ワインはソムリエに選んでもらい、グラスの白ワインは日本でもENOTECAが輸入しているENATEのゲヴェルツトラミネール(Gewürztraminer)とルエダのヴェルデホでつくられたQUINTA APOLONIAを。赤ワインは国外に輸出されていないワインのボトルをソムリエに要望したところ、リオハのSEÑORIO DE CUZCURRITAを選んでいただきました。モダンタイプと伝統タイプを組み合わせたテンプラニーリョ100%のワインだそうです。
デザートにはスペインではないのですが、イベリア半島の隣の国ポルトガルのポルトPorto Pocas LBVを合わせました。
全体的に創作性よりは素材の特性を生かすことに重点を置いた伝統的な西洋料理で、サプライズはないものの、調理技術のレベルの高さが感じられました。