イタリア第2日目はピエモンテのワイン産地を巡る旅に出かける。まずは、トリノから南へ、ワイン産地のロエロ地方の中心都市ブラBraへ向かう。ピエモンテ州南部のワイン産地、クーネオ県の北東部のワイン産地は大きくランゲ地区とロエロ地区に分かれる。
ランゲの中心都市がアルバ、ロエロの中心都市がブラである。その二つの地方を分けるイタリアでいちばん長い川ポーの支流のタナロ川である。
トリノの中心にある駅がポルタ・ヌオヴァTorino Porta Nuova。トリノの鉄道路線はかなり複雑で、路線図は必携である。あらかじめダウンロードして持参した。
【ポルタ・ヌオヴァ駅のTRENITLIAの列車、自転車用の車両もある】
この駅からの一駅、リンゴットLigottoからブラBra行きに乗り換えて終着駅がブラ。無人駅ではなく、カフェもあるが、駅の規模は日本の地方の小都市と同じ程度であるが、駅舎は立派である。
ピエモンテ州はトスカーナ州に比較して、観光に関する情報は圧倒的に少ない。「地球の歩き方」にも、トリノの記載があるだけだ。
人口3万人程度のブラの街はコンパクトで駅から歩いて回れる。駅前の道路を数分歩いていくと町の中心に出る。
トリノのアーケードを小規模にしたような駅前の街並みは、かなり私の郷里の沼津市のアーケードに似ている。
しゃれたファッションの店や食料品店などの商店が並び、にぎやかな街で人通りも多い。中心部は歩行者専用になっている。
この日は市が開かれる日で、近隣から集まる人々でにぎわっていた。中世の歴史的建築物も多く、街並みもクラシックでなかなか良い。日本人はいないし、観光客もほとんどいないようだが、一度行ってみる価値がある。日本のガイドブックには載っていない。
イタリア・スローフード協会およびスローフード・インターナショナルの本部もあり、スローフード発祥の地として有名である。
【スローフード本部の隣のショップ】
本部の隣にはピエモンテ料理のスローフードで有名なレストランOsteria del Boccondivinoがある。
ワイン産地だけあって、ワインショップもあったが、観光地でないためか数は少ない。
街を1時間ほど散策後、駅で10時30分にハイヤーの運転手と待ち合わせ。プラカードを持って迎えてくれた。
ピエモンテのワイナリーのツアーはテイスティングが伴うのでレンタカーには向かない。トスカーノの日程をつくる際に、運転手付レンタカー(NOLEGGIO CON CONDUCENTE:NCC)という業態があることが判明。 Mauro Giacosaという会社をインターネットで検索し、ホームページhttp://www.maurogiacosa.com/it/にあるフォームから申し込んだ。ただし、行程については英語のメールでかなりやりとりをした。
実際にワイン産地のランゲ地区の道路は複雑で、慣れた運転手が効率よくワイナリーをまわれる。こちらの要望に沿ってワイナリーの予約やツアーのスケジュールを組んでくれた。電車やバスに比べてはるかにサービスレベルは高い。決して安くはなかったが、旅行の満足度が飛躍的に向上するため、こちらを選択する価値はある。
中年だがイケメンの運転手はよくしゃべる。イタリア訛りの強い英語。Rを「る」と発音するため聞き取りにくい。しかし観光地の歴史などを丁寧に説明してくれて、親切でよく気が利くいい人だ。旅で会ったイタリア人は皆親切で性格が良かった。
まず、ブラの近くのポレンツォPollenzoという町にある食科学大学Università degli Studi di Scienze Gastronomicheへ。旧サヴォイア家の屋敷を改修したもので、立派な建物である。ホテルL’Albergo dell’Agenziaやレストランも併設され、イタリア各地のワインが集められたワイン銀行Banca del Vinoもある。スペインのサン・セバスチャンの食科学大学であるバスク・クリナリー・センターがモダンな建物であるのに対して、歴史的建造物を大学として使っているところが、スローフードと分子料理(ヌエバ・コシーナ)の違いを感じる。