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静岡県東部地域のアパレルブランドの出店状況と沼津・三島・伊豆エリアの大規模商業施設の現状

西武沼津店撤退の背景には、一般に言われる郊外大規模店との競争ではなく、すでに競争力のある有力ブランドの過疎化という現象が進み、ガラパゴス化している静岡県東部地域のアパレルブランドの現状がある。

  静岡県東部地域のアパレルブランドの出店状況と商業施設の関連をまとめてみよう。ワールド、オンワード樫山、ファイブフォックスなどの百貨店ブランドやファッションビル・駅ビルブランドのナショナル・ブランドのアパレルは、静岡県東部地域への出店が極めて少ない。それは百貨店が小規模な西武沼津店(2013年1月閉店)のみで、PARCOなどのファッションビル(FB)がほとんどないという事情による。この傾向は西武沼津店が撤退後さらに進むだろう。

 一方、これらのアパレルメーカーのミドルクラスのブランドや、ポイント、しまむらなどのミドルクラスのSPAブランドはメーカーによって出店方針が異なるが、イオン系などのRSCに集中的に出店しているワールドやポイントなどのナショナル・ブランドは、東部地域への出店が少ない。ユニクロなどのロードサイド立地型SPAは、平均的かやや少なめの立地となっている。

 結論的には、静岡県東部地域は百貨店ブランドやFB・駅ビルブランドの出店が極端に少なく、全国ブランドのミドルクラスの立地も総じて少ないが、それはそれらの受け皿となる百貨店、ファッションビル、駅ビル、大手モール系SCなどの大規模商業施設の売場面積が少ないからである。しかし、そうかといってロードサイドの全国チェーンのSPAの出店が多いとはいえない。

  ここで、ナショナル・ブランドの過疎地、沼津・三島・伊豆エリアに立地する既存の大規模商業施設の現状を見てみたい。

 清水町の「サントムーン柿田川」については、ナショナル・ブランドの出店が大型ショッピングモールとしては少ない。モールの構造も増築を繰り返しているため、本館、アネックス、シネマ棟に建物が分かれていて、核テナントの大型店がアネックスとして、離れた別棟になっているなど、最近、進化しつつある大規模ショッピングモールに見られるような商店街のような回遊性や一体性、快適性に乏しく、構造上、長時間滞在する来店者の満足度が低くなる。駐車場は広いが、平面駐車場中心のため、混雑時はかなり遠い場所に駐車せざるを得なくなり、店舗まで相当距離歩くことになる。

 イシバシプラザについては、専門店が少なすぎる上に全国ブランドのショップがなく、モールというよりは一昔前の専門店街と一体となったGMSに近い。イーラdeについては、駅前という優れた立地から、本来FB的なテナント構成を目指すべきであるが、静岡市の丸井やパルコにみられるようなFB系のナショナル・ブランドはほとんどなく、中途半端な施設面積ということもあって百円ショップなどファッション以外の店舗が大きな面積を占めるなど、魅力のない店舗構成となっている。

 伊豆方面の大RSCとしては、伊豆の国市のユニーの大型店、アピタ大仁店があるが、ここもGMS中心で専門店は少ない。

  このように、この地域はテナントにとって魅力の大きい大型商業施設が少ない(特に、沼津・三島・伊豆エリア)ということが競争力あるブランドの不在という結果を招いている。このため、競争力の弱いブランドでもこの地域では生き延びることが出来る。また、ロードサイド出店型の競争力あるナショナル・ブランドも、競争相手となりうる有力ブランドの不在により、地域におけるブランド間の競争がなく、消費市場が活性化していないため、一部ブランドを除いて、ナショナル・ブランドの出店意欲が乏しいようである。

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