フランス篇――その2 シャンパーニュ①ランス
途中の停車駅、ロレーヌTGVの駅は新幹線の新駅で在来線も乗り入れていないためか、周辺には市街地は全くなく、駅舎だけが立派にそびえている、日本の新幹線の「新」が付く駅に似たイメージの田舎の駅である。
シャンパーニュ・アルデンヌ-TGVはランスの南約5キロに建設された新駅だが、在来線(ter)が乗り入れている。
TGVはここで下車、在来線に乗り換えて少し行くと、ランスの駅に着く。
この駅は新しいようで、パリ行きのTGVをはじめ、多くの列車が発着している。TGVの新線が新しくできたためだろう。
この日の宿のホテル・メルキュール・ランス・サントル・カテドラルは川の近くにある近代的なホテルである。
夕食のレストランに行くため、町の中を歩いて行く。アルザスとはかなり違う雰囲気の街並みである。有名な大聖堂はホテルから近い。
街の中央にはトラムも走る。グリーンの車両はスマートなデザイン。この4月に開通したばかりだそうである。この色のほかピンクとブルー、イエローなどもあるそうだ。トラムは、かつてはドイツ文化圏中心であったが、フランス全土に広がりつつある。TGVもそうだが、公共交通の整備のスピードが日本と全く異なる。
街の中心部の並木のある大通りはカフェに大勢の人々が集っている。土曜日の夜は飲んで食べて過ごす習慣があるようだ。
地上も地下も駐車場は車でいっぱいだが、飲酒の後の運転は大丈夫なのだろうか。
夕食は予約しておいた、ランスの駅の近くのシーフードが自慢のブラッセリー。ブラッセリー・デュ・ブラングランBrasserie du Boulingrin。http://www.boulingrin.fr/
外観もおしゃれだが、1925年創業のアールデコ様式のちょっとゴージャスな店内、壁にはフレスコ画の壁画がある。ここも客でいっぱいだ。予約しておいて良かった。
プリ・フィクスのコースメニュー(23ユーロ)があるが、このなかからアントレに生カキ6個と自家製鴨のフォアグラを選ぶ。シャンパンをボトルで注文しようと、リストを見ると、ボランジェspéciale cuvéeが58ユーロだったのでこれを注文する。さすがにご当地だけあって、シャンパンに割安感がある。ビルカ-ル・サルモンbrutは47ユーロだった。
メインは魚を中心に、タラのロースト・バターソース。狼魚の鉄板焼きグリル、小さな野菜添え、ヴァージン・オリーブ油添え。料理はビストロ料理的であるが、水準はかなり高い。
デザートはチョコレートケーキとヌガー・アイスクリーム・マンゴーと赤い果実のソースに。バニュルスの甘いワインをチョコレートケーキに合わせる。
客が多く少し騒々しいが、多い客の割には、従業員はきびきびと仕事していて、かなりきめ細かいフレンドリーなサービスで、手ごろな価格からみて予想通り満足できる店であった。
店を出ても、大通りのカフェはまだまだ盛り上がっている。いつまで飲んでいるのだろうか。不夜城の感がある週末のランスの夜であった。