香港のミシュラン3つ星のイタリアンレストラン。アジアのベストレストラン50の6位。世界のベストレストラン39位(イタリア料理では3位)。イタリア以外では世界唯一の3つ星イタリアン。中環(セントラル)の高級ショッピングセンター・ビルAlexandra House歷山大廈の2階(日本流には3階)にある。この辺りの高層オフィスビルの低層階は高級ショッピングセンターになっていて、ブリッジで相互につながっている。土地の狭い香港では高級レストランも1軒家のものはほとんどなく、ビルのテナントとして入っているようである。
このレストランのエントランスは地味で、気が付かないで通り過ぎてしまいそう目立たないものだが、内部はゆったりと広々していて、ブラウンを基調とした洗練されたシックでモダンなインテリアである。金融関係者がビジネスランチ利用が多いようだ。
ランチはプリフィクス・メニューで、前菜、メインの2品選ぶシステム。デザートは別で8HKドル。プリフィクスのランチワインも8HKドル(オーダーしたのは別のもの)。
まず、スプマンテをグラスで注文する。相方は日本産の玉子のポーチドエッグとモッツアレラとダッテリーノ・トマトの自家製タリオリーニTagliolini、ピエモンテ料理のタヤリン(Tajarin)。私はタコとロブスターのカルパッチョと但馬牛のサーロイン・ステーキを。
様々なパンの盛り合わせ。グリッシーニやインドのパパドのような板状のパンなど。特にドライ・トマト入りのパンが風味豊かで美味しかった。ほかのパンもすべてハイレベルなうえに、上質なオリーブ油が付く。
ポーチドエッグは日本の温泉卵。甘いホワイト・アスパラガスとモレイユ茸を添えて、シンプルな玉子料理が、濃厚でクリーミーな玉子に香りと味わいが豊かな野菜が加わり、エレガントな料理に仕上がっている。
カルパッチョは湯がいたタコが香り豊か。薄く切ったロブスターのカルパッチョは繊細な味わい。付け合わせに、かなりアルデンテで独特の食感のアクエレッロ社のリゾット米と野菜サラダ、サラサラとした独特の食感を出している。
タリオリーニはバジル・ペスト・ソース(Sauce Pesto)、いわゆるジェノベーゼだが、刺激的な香りは控えめで、エレガントな味わい。甘く、凝縮感のあるダッテリーノ・トマト(DATTERINO TOMATO)がトッピングされている。グラスでオーダーしたトレンチノ・アルト・アディジェ産のソーヴィニオン・ブランのややふくよかなハーブ香、グリーン・ノートと良く合う。
サーロインはミディアムでお願いしたが、軽くさしの入った但馬牛は繊維を感じつつジューシーで、ほどよく甘い食感である。表面はカリッと香ばしく、広東料理の豚肉のバーベキュ ー料理を思い出させる。グラスワインは2004の熟成感のあるバローロ、深い味わいでグラスとしてはかなり高価であるが、マッチングが素晴らしい。
デザートはチョコレート・トリオCHOCOLATE TRIO、タルト、ココア・アイスクリーム、ホット・チョコレート・マキアートの3種。デザートとして基本的食材であり、特にこったデザートではないが、それぞれの皿に料理人の強い存在感を感じさせる。共通するのは、チョコレートが香り豊かで、味わいが深いことだ。
相方はヴァニラ・チーズケーキ、ストロベリーのサルサとソルベ、バルサミコ酢。濃厚な味わいのチーズケーキに甘く香り豊かでフレッシュなストロベリーのソルベと果実のシンプルながら充実したデザート。
ダブルのエスプレッソを。相方はカプチーノ。
ランチのセットメニューだが素晴らしい完成度で、食材も含めて全く手抜きがない。タイミングの良いサービス。付かず離れず、ゲストの様子を良く見ている。
飛行時間わずか4時間の国で、最高レベルのイタリア料理がいただける。日本のイタリア料理も何とかならないのだろうか。ディナーにも是非伺いたいレストランである。