麻布十番にある中華料理店。ビルの2階の見過ごしそうな場所にある。
ランチのメニューは2種類のみ。黒板に掲げられている。涼麺セットとランチセット。メインと風采が2種付いたランチセットを選ぶ。冷たい飲み物がサービスで付くとのことでウーロン茶をお願いしたが、ジャスミン茶やプーアール茶も選べるので、こちらの方が面白いかもしれない。
すべての料理が木製のプレートの上にセットされて出される。
ライスは新生姜ご飯。少し厚めにスライスした生姜が入ったシンプルな炊き込みご飯だが、新生姜の清涼感ある辛さが食事のアクセントとなって、結構うまい。
生海苔卵スープは、ちょっと深めの小鉢に入った卵と生の青海苔のスープ。磯の香りが強く立ち上がり、旨味の抽出されたスープとともに海を感じる。
半熟卵青山椒マヨネーズは卵に注入された出汁が濃厚でこれだけでも完成度の高い料理だが、マヨネーズと青山椒の舌がしびれるような感覚との絶妙なマッチング。千切りのキュウリが下に添えられている。
糸こんにゃくの四川風は汁なし坦々麺のようにキノコとトウガラシなどをスパイシーに和えている。
主菜は海老と山芋の海南醤炒め。海南醤は細かく刻んだ干し海老を用いて旨味を引き出して、四川風のトウガラシ入りの醤でピリ辛に炒めたもの。かなり濃い味わいだが、干し海老とコクのある海南醤が混じって、複雑な味わいとなっているため、塩分は気にならす、トータルでエレガントな料理となっている。海老のぷりぷりした食感と芋茎の繊維質の食感、山芋のサクッとした食感の対比が面白い。
ザーサイも香辛料で和えるなど、仕事が施されている。
ランチを食べてみただけだが、四川料理や中国の少数民族料理をベースにしながら、油や塩分、辛さを控えめにして、香辛料や乾物で深い味わいを出している。シェフの食材やスパイスに関するセンスの良さと調理技術のレベルの高さが感じられ、創作性とエレガンスを感じるヌーベル・シノワである。
ワインもかなり揃っているように見受けられ、ディナーにワインを合わせてみたいレストランである。