台北の大安區にあるアジアン・コンテンポラリーのレストラン。ミシュラン1つ星店MUMEにも近いエリアにあります。
青山Florilegeの姉妹店で2018年にオープンしましたが、ミシュランガイド2019で直ちに1つ星を獲得。青山でス―シェフをしていた田原諒悟氏がシェフとして腕を振るっています。日本料理割烹のようなL字型のカウンターと広いオープンキッチンのスタイリッシュな店です。メニューの紙はなく、おまかせの1つのコースだけです。
最初の一品は北海道産のいくらとニンジンのピュレ。コメのチップスにのせて食べます。アジア料理によくある海老せんべいのようです。アジアとの融合を感じる、最初のアミューズとして期待が広がる一品です。

ワインペアリングをオーダーしました。ノンアルコールのペアリングも用意されていますがアルコールのペアリングをお願いしました。まずは、ロワール、ダミアン・ビュローの微発泡、ペティアンの自然派オレンジワイン。シュナン・ブランです。


2皿目は青りんごのスライスとピュレ、砕いたクッキーと新鮮なアジのたたき。脂がのっていてジューシーでなめらかな食感です。

レンコンのスライスの下にはイカソーメンのように細く切ったイカ刺し、そしてレンコン餅。ソースはイカ墨です。対照的な3層のテクスチュアが楽しめ、ねっとりとしたレンコン餅の食感は台湾の点心、大根餅を彷彿させ、イカ墨によく合います。

台湾産のワイン、威石東酒莊 Weightstone ウェイトストーンです。埔里バレーの白ワインで、ゴールデンマスカット87%、Musann Blanc13%のブレンド、華やかな香りとすっきりした味わいです。


海老の茶わん蒸し、ビスクソース
当店のスペシャリテ。クコの実とカニの身を使った「茶碗蒸し」が一番人気のメニューです。ほろ苦く甘いセルリアック(根セロリ)のソルベをのせ、あとから熱々の牛骨スープをかけて仕上げています。ビスクの甲殻類独特の香りが濃厚です。

台湾のクラフトビールを一口味わった後、ドライフランボワーズ(?)をトッピング。甘やかな香りとフルーティーな味わいになります。

甘鯛
日本料理でいう松笠焼きで鱗を残したまま表面に油を通し、表面はサクサクした香ばしい食感ですが、中はしっとりジューシーで旨味が封じ込められています。台湾バジルにししとう、ほのかに香る五香粉に台湾らしさを感じさせます。プロの仕事です。

料理の合間には、オープンキッチン中できびきびと働くスタッフたちの姿に目を奪われます。

ハチノス
中に隠された内臓系の台湾の食材、からすみや味噌を入れてエスプーマしたソースの旨味が濃厚です。発酵食品の旨味が詰まった料理です。もつ煮込み的な日本人的には親しみやすいニュアンスもあり、東洋的フレンチとして最高レベルの印象に残る料理でした。

発酵系の料理にふくよかな香の感じられ、魚卵系などの複雑な味わいにもよく合う、栃木県さくら市のクラシック仙禽雄町2019を合わせていました。高級居酒屋的な雰囲気もあります。

鴨のロースト
火入れが難しい鴨ですが、こちらの火入れ加減は絶妙です。ぱさぱさせず、しっとりだが繊維のしっかりとした食感。付け合わせに鴨の餃子(クレープ包み)が付いています。

オープンキッチンの奥では、シェフが大きな鴨をじっくりと火入れしていました。


赤系果実の香り豊かな自然派Jean Claude Lapaluのクリュ・ボジョレーBrouilly Vieilles Vignes 2015を合わせていました。

イチジクの入ったジュレとヤギのミルクのヨーグルトのアイスクリーム、カスタードソース。
繊細な味わいのデザートです。

パンナコッタ。
液体窒素で処理されたチーズの花びら、甘さ控えめのパンナコッタ、ピスタチオのプレートが添えられています。

最後は懐かしいナタデココの入ったジュレです。

台湾食材にこだわる一方、シェフのフランス料理の高度な技術を見ることができます。伝統技術とモダンな料理技法がミクスされていて、日本料理やアジアの料理、台湾料理もクロスオーバーしています。控えめながら、アジアンスパイスの香りや、味噌など発酵食品による旨味など、様々な要素がきれいに融合した多様性と複雑性で楽しませてくれる料理でした。

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