小田急線の複々線化及び連続立体交差事業(地下化)事業が進められている下北沢駅周辺の現状を見てきました。井之頭線のホームから見た地下化された小田急線のあとの工事現場です。かつてあった線路沿いの商店街は更地となって、線路あとに工事作業用の重機が入っています。
下北沢のイメージとしては、東京のサブカルチャーの発信地であり、古着屋、無数のライブハウス、レコード屋、と本多劇場グループをはじめとする小劇場など、若者に人気のある活気に満ちた街というものです。
古くからある商店街に加えて、スープカレーなどのカレー店や居酒屋、新しいカフェなど新しいカジュアルな食が魅力的です。
特にスープカレーに関しては、札幌以外では全国最高の集積地帯です。 札幌からの進出店はカレー食堂心、路地裏侍、マジックスパイスの3店。 地元系のポニピリカ。海老スープがエビの香りと旨味が濃厚で美味しかったです。若者とシニア、和と洋、雑多なものが混在する街の魅力が下北沢には詰まっています。下北沢駅北口方向に広がるしもきた商店街振興組合のエリアの商店街です。雑然としていますが、カフェなど高感度で個性的な店が見受けられます。全国チェーンが少ないのが特色です。
現在、下北駅周辺では工事現場の仮囲いであふれ、無機的な感じが否めません。北口と南口も工事現場で分断され、迷路のような連絡通路で結ばれています。
下北沢北口駅前食品市場という戦後の闇市の想いでの場所が北口駅前にあります。鉄道などの工事の影響や後継者難で、残念ながら、ほとんど実態がなくありつつあります。
となりのしもきたスクエア・しもきたannex広場では、下北沢大学というイベントが開催されています。5月7日(土)・8日(日)の2日間、てづくり市、ものづくりを体験できるワークショップ合わせてが約60ブース以上が並んでいるそうです。
下北沢大学とは「しもきた商店街と周辺の街区をキャンパスに見立てた路上大学」とのことで、しもきた商店街と周辺の街区を使った路上大学、アートや文化を育む土壌として下北沢の芸術文化を耕そうとする取組だそうです。
主催がしもきた商店街振興組合となっているので、単なる商店街のイベントと思っていましたが、そうではなく、運営は下北沢大学実行委員会と青空個展実行委員会で、下北沢大学は長期的・継続的な視点から「人づくり」・「まちづくり」を考えていくとのことです。
ホームページに建学の精神がうたわれています。
http://shimokita-univ.com/
地域社会への貢献
社会的課題への対応
コミュニティとの連携促進
文化芸術は心の豊かさや生きがいを与えるものです。文化・芸術の振興は単に施設(ハコ)があればできるというものではないと考えます。下北沢大学が路上大学と名乗るのは「点から面へ」の取組を強調したいからです。下北沢大学のネットワークが地域の発展につながるという思いがあるからです。
「アートや文化を育む土壌として下北沢の芸術文化を耕そう」という言葉は説得力があります。文化芸術が地域を面白くしています。、これからの地域再生のキーワードは文化芸術です。さらに雑多なものが混在するごちゃごちゃ感。多世代共生や多文化共生と難しい言葉を使わなくてもイメージできます。
2010年の秋から文化祭が開催されていて、ワークショップやアート市場が開催されています。
こちらの商店街は比較的変化はなく、相変わらず若い人で混雑しています。チェーン店など居酒屋や飲食店が多いエリアです。
アンゼリカのカレーパンは健在で数種類ありますが、現在は味噌パンが人気のようです。
南口のピュアロード。フリーマーケットが行われる商店街です。再び北口の戻ります。
変化の大きいのは北口の西部エリア。特筆すべきは、Ona Casitaオナカスイタというtちょっとイタリア的なネーミングの食品スーパー。実は地方の食材にこだわった店です。 食文化に対する高い見識を持った店で、下北沢の持続可能な新しい街づくりのコンセプトに沿った店だと思います。
さらに進むと、かなり人の流れが急に細くなってきいきます。かつておしゃれな雑貨の店が多かったエリアでシャッター店も見られます。
一方、農民カフェは盛況です。田園回帰、自然志向的な若者の食のトレンドが下北沢に浸透しつつあるようです。
しゃれた雑貨店が多かったエリアでしたが、シャッターの下りた店も目立ちます。下北沢は文化芸術や過去の街が混然となっているところは相変わらずだし、下北沢大学に代表されるような、全国的に見ても新しい発想の街づくりの動きも見られます。今後も目が離せないエリアであることは間違いないでしょう。
小田急線の地下化など長年にわたる工事現場により駅の北口と南口が分断され、下北沢の魅力ある商店街も疲弊してきているのは事実でしょう。
そのなかで下北沢大学の取り組み、地域の人々が様々な活動を通じて、コミュニティを意識しながら、持続可能な取り組みを姿は注目されます。
その一つ、下北沢大学のイベント、シンポジウム「下北沢はポートランドを超えられるか」が5月18日に開催されました。ポートランド在住、ポートランド市開発局に勤務する山崎満広さの講演がありました。ポートランド市のリノベーション、歩いて暮らせるコンパクトな都市、環境共生型、コミュニティ重視のまちづくりが紹介され、商店街をはじめとする地域の人々が熱心に聴講していました。全国的にみても注目されるこのイベントについては、あらためて報告します。