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日本を代表するプレミアム都市・松本

日本の地方都市の中でも、松本市ほど魅力的な都市は少ないでしょう。自然、文化、歴史、街の賑わいなど、都市の魅力や品格として欠かせない要素がそろっています。

新宿から松本までJRの特急で約3時間。北陸新幹線で東京から金沢まで2時間30分となった今となっては、東京から時間のかかる都市のひとつになりつつあります。ただ、東京から物理的には近くにありながら、たどり着くまでのゆったりとした時間距離が、かえってその街の希少価値を高めているような気がします。DSC_1478

今回(4月2日)松本は約10年ぶりの訪問です。桜は2分から3分咲きといったところ。駅前は同じ長野県でも新幹線が開通し、北陸新幹線開通と合わせて新しい駅ビルが完成して、都会的なターミナルに生まれ変わった長野駅に比べて、昭和53年改築の駅舎や駅ビルが少し古くなっていて、周辺には小規模なホテルが林立し、ちょっと昭和の雰囲気も感じられる駅前です。DSC05369

DSC05372少し変わったのはバスターミナルのあるイトーヨーカドー系のエスパ松本が大規模な売場改装を実施し、2011年12月Ario松本に店名変更、ロフトなどが入ったくらいで、こちらも実態はさほど変わっていません。

DSC05478DSC05479地元資本の百貨店の井上は、2010年3月新館の営業を終了して、専門店街のベルモール25も同年営業を終え、かつての新館は書店の丸善などが入った専門店ビルになっています。井上は松本市郊外の山形村に郊外型SCのアイシティ21を2000年10月にオープンさせたことが、松本市の中心市街地に多少なりとも影響を及ぼしていると思われます。井上の周辺は電線地中化も行われておらず、洗練された街並みが広がる松本市の中では、雑然とした感じが否めません。井上自体も客の入りが今一つのようです。DSC05475

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松本市の中心市街地は松本駅から松本城に至るエリアに広がっています。松本駅から松本城は徒歩で20分ちょっとの距離で、中心市街地もコンパクトなサイズです。

駅前広場から本町通りに至る狭い通りは公園通りと言われています。電線地中化が行われ、自動車は一方通行ですが実質的には通行は困難。居酒屋などい飲食店が並び、若者で賑わう通りです。DSC05373DSC05374途中にあるPARCOは松本市の若者が集まる中心商業施設です。その向かいには区画整理事業により整備された花時計公園があり、市民の憩いの場となっています。DSC05376DSC05378DSC05382

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パルコの先の和菓子の老舗開運堂・パリの五月では、世界唯一というロボットが作るソフトクリームが名物という意外感。DSC05386 DSC05387DSC05388中央一丁目から中央二丁目の間の伊勢町は、歴史のある商店街ですが、中央西土地区画整理事業で整備された広い通りになっていて、両側にはブティックなどモダンな店が並び、松本手まりを模した「からくり時計」や せせらぎ水路が広い歩道にあり、ファッショなブルな高級感のある通りとなっています。

中央二丁目から松本城の間の本町通りと大名町通りは松本市のメインストリートです。みずほ銀行松本支店などの金融機関が多く、ビジネス街的な色彩もありますが、レトロな建物や老舗も並び、城下町の雰囲気が漂っています。DSC05452

DSC05453一部登録有形文化財に指定されているレトロな雰囲気の松本丸ノ内ホテルも大名町通りにあります。 DSC05454 DSC05455

松本と言えば蔵の街といわれるようになりましたが、黒なまこ壁と白壁の蔵が並ぶ蔵の街が中町通りです。

土蔵造りの「蔵シック館」は大禮(たいれい)酒造の母屋、蔵、離れの3棟を移築、改修したもので、敷地内に蔵の井戸があります。

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中町通りには和食や洋食などの洗練された飲食店や日本の器や雑貨、民芸や漆器、織物などの伝統工芸、古美術など文化を感じさせる店が並んでいて、松本の街の品格が漂っています。松本では一番おすすめの通りです。DSC05457

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DSC05469 DSC05468 DSC05467 DSC05470 DSC05471小布施の栗菓子の名店「竹風堂」も松本の老舗のような店構えです。DSC05466

郷土料理の草庵。地元の食材を使用したスローフードの店です。DSC05462 DSC05461詳細はこちらをご覧ください。

草庵

女鳥羽川沿いにある縄手通りは2001年に区画整理により全面的に改装され長屋風の昔の町並みを再現した通りです。2016年1月から24時間歩行者天国。中町通りとは異なり、下町風の趣きです。DSC05393DSC05396

こちらは観光客が多く玩具や古民具・骨董のほか、駄菓子や飲食物、土産物などカジュアルな雰囲気で賑わっています。DSC05398

DSC05404蛙がシンボルで、至る所に見ることができます。DSC05397DSC05406DSC05405

繩手通りから松本城の方向へ向かう上土町は大正ロマンの街です。白鳥写真館とその隣にあるレンガ造りの上土会館です。DSC05411

DSC05412松本ホテル花月は上土町にある明治29年創業の老舗ホテル。ハイカラな街にふさわしい外観ですが、この春4月5日にリブランドオープン。白塗り瓦屋根が印象的なレトロ調ホテル。松本民芸家具を全館に配置しています。

松本城に近くなると民芸調の建物が増えてきます。DSC05413DSC05414

松本城は桜がほころび始めたところ。外国人観光客は欧米系が多いようです。日本的な街並みが人気を呼んでいるのかもしれません。それにしても松本城の天守閣は美しいです。DSC05423DSC05426一見伝統的建造物群のような松本市中心市街地ですが、平成14年1月に竣工した12ヘクタールの中央西土地区画整理事業、蔵のまち中町街なみ環境整備事業、縄手通り整備など都市計画による景観整備事業により、人為的に蔵造りなどの日本的な街並みの商店街を作り出したところに松本市のまちづくりのすばらしさがあります。行政と市民の協力関係がなければ実現しません。

松本のような観光都市では、駅から観光拠点までの導線が重要です。この点、松本は優れています。松本駅から松本城までがほぼ一つの導線。その両側に蔵の街などの城下町の雰囲気の漂う人気の街が広がり、観光客が街歩きにゆっくりと時間を費やす回遊型の街が広がっています。同じ長野県でも長野市は長野駅から善光寺までほぼ一本の導線で、途中、権堂の商店街などありますが、距離が長すぎるため、バスやタクシーで善光寺まで向かう人が多く、回遊型の街とはなっていません。

これに対して、同じ城下町の青森県弘前市は駅から弘前城までの距離は松本よりちょっと長い。しかもルートが一本決まっているわけではありません。中心商店街の土手町の長い街路も、駅から彫刻の並ぶ遊歩道を通って上土手町に向かう人は少ないようです。こちらは次回に報告します。

いずれにせよ、今回再度訪れた松本は、快適で魅力的な街です。シャッター通りとなった多くの地方都市にないものがあります。ここで重要なのは、それが自然発生的にできたものではないということ。雑然とした街並みを行政が都市計画により、快適で美しいもの作り変えています。しかも、城下町としての趣、日本的文化、街の賑わいなど様々な価値を新たに創り上げて、コンパクトで魅力ある街が出来上がっています。それは、行政と市民との共同作業によるものです。

歴史的な街並みと都市計画、魅力的な商店や飲食店の賑わい、程よい街のコンパクトさ、まちづくりの様々な要素が凝縮された松本の街です。

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