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東京に一番近い地方都市「熊谷」(その1:中心市街地)

熊谷市は東京都内からJRの電車で1時間10分程度の埼玉県北部の中心都市です。東京の通勤圏にはありますが、地方都市の雰囲気が濃厚な都市です。時間距離がほぼ同じ神奈川県の平塚市あたりでは感じられない地方都市らしさがあります(神奈川県も小田原市まで行くとかなり地方都市を感じます。)9月下旬、この東京に一番近い地方都市「熊谷」を訪れました。この街の郊外の三尻地区に私は小学校3年まで住んでいました。今回の訪問は十数年ぶりです。

駅前
熊谷駅改札口を出ると、駅直結の駅ビルAZがあります。まだ、午前中の早い時間だったため、買い物客はやや少なめですが、地方都市にはない都心の駅ビルやショッピングセンターに出店しているおしゃれな店が多く、ここが首都圏の都市であることを感じさせます。熊谷駅周辺では、ニットーモールやティアラ21もペデストリアンデッキで結ばれていて、熊谷市の中心ショッピングゾーンとして中心部の賑わいがあります。

駅前はバスが発着し、人通りも多く、まずまずの賑わいです。しかし、駅前通りを進んでいくと、人通りは徐々に少なくなっていきます。

17号線沿いの旧中心市街地
さらに進んで熊谷の中心市街地、かつて商店街として賑わった国道17号線沿線の商店街は壊滅状態です。駅から遠いのと中央の国道で分断されているのがたぶん難点、アーケードがあった本町商店街の付近には老朽化した建物や駐車場とマンションが連なっています。

一方、国道17号線と交差する通りにはかつての商店街の賑わいの面影が感じられます。こちらはリノベーションで再生する可能性があります。

国道には趣のあるバス停もありましたが、どこか寂しさが感じられます。

一方、駅から離れた八木橋百貨店は健在です。

明治30年開業の八木橋呉服店から、創業120周年。私が住んでいた50年余り昔は、自宅のあった郊外の三尻地区からバスに乗って両親とともに八木橋デパートに行くのが休日の楽しみでした。リニューアルが行われ、都会的で洗練された店内です。昔と同じ、上の方の階にある食堂のお子様ランチ、キッズプレートと名前は変わったものの赤いチキンライスには、今も当時と同じように旗が立っています。 この百貨店は創業120周年だそうです。創業90周年の頃の写真、以前の見覚えのある建物と食堂、懐かしいです。

「八木橋創業120周年 無限に変わらぬ感謝の想い。」が掲げられています。

「創業以来皆さまの嬉しいが喜びであり、たくさんのありがとうをいただくことを私どもの本分としてまいりました。

これからも皆様への感謝の想いを胸に、地元の百貨店として皆さまの生活に寄り添い、限りない未来へと歩んでまいります。」

大手の百貨店の地方店舗の撤退が相次ぐ中で、地元資本の百貨店がこのように高邁な企業理念を持って、地元と寄り添い存続していることは本当に素晴らしいことです。このような百貨店を支える熊谷市民の志の高さも感じられます。

熊谷市の八木橋百貨店の隣にはカノーヤという仏壇店があります。かなりの規模です。埼玉県下随一の大規模仏壇店だそうです。この建物はかつて丸善デパートという百貨店で、屋上には観覧車がありしたが、現在、観覧車の脚部の鉄骨だけが残っています。このあたりでよくハンバーグランチを母親と食べた記憶があります。確か当時300円でした。

熊谷寺
熊谷市所縁の熊谷直実公の生誕の地であり、出家後蓮生法師として往生した場所である熊谷市のシンボルともいえる寺院。「ゆうこくじ」と読みます。かつては公開されていたが、現在は閉鎖されていて、檀家以外の者は立ち入ることができない。したがって寺の行事以外は一般の人は立ち入ることはできず、観光の対象とはなっていません。立派なお寺なので残念です。

片倉シルク記念館
八木橋百貨店から近いイオン熊谷の隣にある記念館です。片倉工業株式会社の最後の製糸工場だった熊谷工場の繭倉庫を利用して創設された記念館だそうです。


同社の製糸業121年におよぶ歴史を継承するために、熊谷工場の操業当時に使われていた製糸機械が展示されていて、繭から生糸になるまでの過程が紹介されています。入館料は無料で、昔の農家の蚕糸づくりの展示と、片倉工業熊谷工場の歴史の展示した部分に分かれています。無料にもかかわらず内容は充実しているのですが、観光客向けに展示内容を映像を交えるなど、わかりやすく楽しい内容にすると訪問者も増えるのではないでしょうか。撮影禁止というのもSNSによる情報拡散もできず、もったいないです。外国語対応も不十分です。

イオン熊谷店
旧マイカルということでシネコンもあります。リニューアルがなされていないのか、ひと昔前のショッピンセンターのイメージです。八木橋の先進性に比べるとちょっと見劣りします。あまり賑わっているとは言えませんが、高齢層を中心に近隣からの需要はあるようです。星渓園
熊谷市の中心市街地を流れる星川の源となる玉の池を中心とした回遊式庭園です。規模は小さいながら、竹木が茂り、茶室も整備され、市街地の中にあって静寂の中、なかなか趣のある庭園です。

西京屋

星渓園から星川通りへ向かう途中、揚げ物の香りに誘われて、西京屋さんという惣菜店でコロッケとメンチカツを購入。年配の男性が揚げていて、どこか懐かしい雰囲気です。

星川
熊谷市の中心部を流れる星川の両岸は星川シンボルロードとして、市民の散策コースです。終戦の1日前にあった大空襲により熊谷市中心部は焼け野原になりました。平和の祈りを込めて、戦災の中心となった地域を流れる星川はシンボルロードとして蘇りました。私が訪れたことのある50年前は、街路樹は柳が中心だった記憶ですが、現在はハナミズキが植えられ、彫刻やモニュメント随所に設置されるなど潤いのある景観を演出しています。

この通り沿いにあるのが小山食堂。熊谷・行田の名物フライと塩焼そばをいただきました。フライは揚げ物ではなくて昔食べたお好み焼きに近く、二つ折の厚めの皮はふんわり、もちもち感があります。具材は刻んだネギとイカと豚肉が入っています。塩焼きそばは、シンプルな焼きそばですが、どちらも懐かしい昭和の味です。大衆食堂的な店の雰囲気もかなりレトロで、マップを持った観光客も来ていました。熊谷名物のかき氷の「雪くま」9月中だったので、まだ食べられました。となりの店もフライ店でした。

星川周辺には、戦災復興で建てられた、いわゆる看板建築など昭和を感じさせる建物があり、懐かしさを感じさせるエリアです。外国人観光客も喜ぶのではないかと思います。 後編はこちらをご覧ください。

東京に一番近い地方都市「熊谷」(その2:三尻地区)

 

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