広尾駅から歩いて10分、恵比寿や白銀高輪から15分程度はかかりそうな交通不便な白金にある中華料理店。
正面の左側の入口が開いていて入って行くと、冷蔵庫が並び倉庫のようなので進むのに躊躇してしまいましたが、店の人がどうぞというのでここが店の正面の入口のようです。一階には窓がなく、薄暗い部屋に木製の丸テーブルが並び、午後1時だというのに客はいません。席の案内もなく不気味な世界ですが、2階が広いからどうかと言われて2階へ。こちらは窓から光も入り、テーブルも明るく、普通の客がかなり入っているので安心しました。日本式のサービスはないので、予めそういう店だと理解しておけば、特に不愉快に感じることはないと思います。むしろ香港の下町の食堂と思った方が良いでしょう。
布のように見えるビニールクロスのかかったテーブルには、ボトルに入った冷たいウーロン茶とコップがあり自分で注いで飲みます。
平日限定ランチの焼味飯チャーシュー鶏のせご飯(1000円)と点心セット(+400円)を注文。焼味飯は白いご飯の上に蜂蜜漬けシャーシューと蒸し鶏、青菜、ザーサイがトッピングされています。XO醤ベースのスパイシーなソースが付いています。
チャーシューは本場香港の一流レストランを思い起こさせるようなレベルの高さ。五香粉の香る甘いパリッとした表面に、軟らかく、しかもシコシコとした歯触りとジューシーな豚肉の食感と旨味が何とも言えない味わいです。おそらく日本ではトップレベルでしょう。
蒸し鶏には生姜葱の刻みが付いています。鶏はチャーシューに比べると少し普通ですが、やわらかくジューシーで、味が薄いのでソースをかけるといいでしょう。ザーサイも少し脂があって味加減も良いです。
点心セットは点心3種の蒸し点心とデザート1種が付きます。この日の点心は海老蒸し餃子、シューマイ、大根餅でした。
海老蒸し餃子は透明感のある薄い柔らかい皮に香りのしっかりとしたプリプリの海老が入っていてかなりレベルが高いです。シューマイも豚肉のほか海老、貝柱、シイタケが刻んで入っていて、日本の中華料理としては本場のレベルも近く、旨味と香りとジューシーな味わいが揃っています。大根餅はねっとり感があるものの海老の香りが弱いようです。
デザートは杏仁豆腐、マンゴープリン、タピオカ入りマンゴーピューレから選ぶことができますが、マンゴーピューレを選択。日本では他の2つに較べると一般的ではありませんが、香港のレストランではどこにでもある「楊枝甘露」と言われる普通のデザートです。これがかなりうまい。柔らかくきめ細かい味わいのマンゴーピューレにピンクグレープフルーツが少しはいっていて、タピオカがたっぷりです。マンゴーピューレが実にまろやかで、ほどほどの甘さがエレガントな味わいです。これはお勧め。
ランチのメニューに関する限り、焼き物と点心のレベルは香港の高級中華料理レストランに近いものを感じました。ほかのメニューも試してみたいと思います。
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