大川内山は、伊万里市中心部から車で15分ほどの山里です。江戸時代に佐賀鍋島藩の御用窯がおかれ、朝廷や将軍家などへ献上する焼物が焼かれたところで、伊万里焼の中でも大川内山の藩窯は正式には鍋島焼です。赤、黄、緑のみの三彩で上絵付けしたものが鍋島焼の特徴一つです。この山里に現在も窯元が並んでいて、藩窯として培われてきた伝統的な高度な技法に新たな技術を取り入れるなどしながら、300有余年の歴史を誇る伊万里焼の中心となっています。
駐車場に車を置いて、山裾の斜面に沿って並ぶ窯元を訪ねます。煉瓦造りの窯が並ぶ伝統的な街並みは「秘窯の里」独特の風情があります。伊万里・春の窯元市は4月1日~5日に開催されるため、ゴールでウィーク期間も静かです。
昭和元年創設、比較歴史の浅い畑萬陶苑は、フランス・パリにて国際見本市「メゾン・エ・オブジェに出品、高い評価を得ているなど、伝統と現代性を兼ね備えた窯元です。
伝統的で装飾的なものが多い伊万里焼の中で、マルカはグッドデザイン賞を受賞しています。伊万里焼らしい「青白磁」の釉薬を使用しつつも、シンプルで機能的なデザインは現代人の食生活にフィットしています。
鍋島御庭焼は鍋島藩の御用窯の唯一の直系の窯元とのことです。窯主は五代目市川光春さんです。
虎仙窯は青磁の製作と絵描きを担当してきた家系で、青磁を得意としています。伊万里焼の伝統工芸士青木妙子さんが製作しています。
鍋島焼の老舗川副青山窯は工場は移転したものの、ショールームと工場跡地のアウトレットコーナーがあります。青磁・白磁と色の違う釉薬を分けて掛け、文様を表現する「かけわけ」が人気です。
こちらも老舗、小笠原藤右衛門窯。鍋島様式の伝統的で装飾的なデザインは歴史を感じます。
くまモンの起き上がりこぼし「七転八起」。有田焼だそうですが、被災者を元気づける支援グッズとして注目されているようです。
伊万里片岡鶴太郎工藝館。全国に4か所ある片岡鶴太郎さんの美術館の一つです。
大河内は窯元が集まっていることもあって、徒歩で伝統的建造物の並ぶ窯元集落巡りができるという全国的に貴重である魅力的な里です。
窯元巡りの途中で休むことができる、鍋島焼の器で供される、和風のカフェや食事のできる店などがあるとさらに魅力が増し、最高レベルの観光地となることでしょう。IMARIのヨーローーパにおける知名度もあり、インバウンドもかなり期待できると負います。