ゴールデンウィークに開催されている有田陶器市です。
まず初めに、有田焼の三大窯の一つ源右衛門窯に向かいました。有田の町の郊外の山間にあります。昭和45年(1970年)に六代・舘林源右衛門(1927-1989年)が、ヨーロッパで「輸出伊万里」の美を再発見。先人陶工達の技と情熱に深く感動し、現代の暮らしにフィットする源右衛門窯様式の「古伊万里」を復興した窯です。
芸術性の高いものから、日常使いの洗練されたデザインのものまで幅広い作品があります。陶器市とはいえ、日常使いのものもかなり価格が高いです
トイレも芸術的です。よく手入れされた、立派なお庭もありました。 http://item.rakuten.co.jp/takatoh/c/0000000101/
有田駅から上有田駅の間が有田陶器市のメイン会場です。3キロ近く距離があります。
有田のmignonは卸商社石丸陶芸が運営する波佐見焼専門ショップです。シンプルでモダンな康創窯などがありあした。
一般的に有田焼のデザインは保守的なものが多く、波佐見焼のモダンで洗練されたデザイン比べて見劣りするものが多いように思われます。
しかし、よく見ると有田焼にもデザインの新潮流が見受けられます。
皓洋窯は藍と白の色合いを中心とした、普段使いのシンプルでモダンなデザインの器です。 陶器市ではアウトレットを含めて積極的な販売活動をしていました。
http://item.rakuten.co.jp/natural69/c/0000000178/
卸商社伊万里陶芸の和・紋シリーズ。和モダンの世界です。全般に商社企画商品が優秀です。紺の市松模様のような、オリンピック・パラリンピックエンブレムにつながる、和モダンのデザインです。
多くの有田焼は、伝統にとらわれすぎたデザインで、ユーザーサイドのニーズが十分に伝わっていないのではないかと思われます。
五区楽通りというエリア。有田と上有田の中間あたりです。
有田から上有田に入ると伝統的な有田焼の窯元が集まっています。皿山通りの赤絵町区というエリアになります。
そして、今右衛門窯は上有田の赤絵地区のの中心にあります。陳列場は今右衛門母屋にあり、今泉今右衛門の表札もかかっています。重要無形文化財(人間国宝)今右衛門窯は歴史を感じさせる和洋折衷の館です。今右衛門古陶磁美術館の1階・2回は色鍋島今右衛門の特設会場となっています。
有田焼大手の香蘭社は上有田の中心部に数店舗、大きいです。さすが深川家の祖又四郎(初代深川栄左衛門)、につながる深川家直系だけのことはあります。といっても深川栄左ヱ門(8代目)らにより、1879年(明治12年)に設立されたもので、会社の歴史自体は深川製磁とさほど変わりません。陶磁器だけでなくガイシなどセラミクス製品の比率が多いのが特色です。
大手、深川製磁は明治27年に香蘭社の深川栄左ヱ門の次男忠次により設立された新しい窯元です。1900年(明治33年)のパリ万国博覧会に出品するなど、積極的な海外展開やデザイン性に優れた商品展開が売り物だったのですが最近やや停滞気味のようです。
有田焼発祥400年び陶祖、李参平の子孫十四代金ヶ江三兵衛の窯です。
この近くには陶祖李参平が祀られている陶山神社があります。建立は1658年頃といわれていますが、すべて磁器製の大鳥居や狛犬、灯篭、欄干など、有田らしい独特の風情があります。やきものできたお守りもありました。韓国人と思われる観光客も来ていました。
白山陶器も売店がありました。森正洋氏のデザインがまだ受け継がれているようです。ちょっと古くなってきた感じです。
弥左エ門窯は江戸文化年間1804年創業の歴史ある窯元です。この弥左エ門窯の有田製窯株式会社が現代人のライフスタイルに合わせたモダンブランドが有田ポーセリンラボARITA PORCELAIN LABです。特注品、OEMが多かったですが、モダンなJAPANシリーズが主力商品となっています。
一方で、明治12年(1879年)に設立の和と洋の意匠が独創的な明治中期の有田焼「明治伊万里」を作り出した名社「精磁会社」の復刻プロジェクトも進めているとのことで、志の高さには驚かされます。
ANAで使われているというタレない醤油差し。それなら台皿いらないじゃないかと突っ込みましたが、受け皿でなくてあくまでも台皿、両方とも買ってしまいました。
【醤油差し】タレない醤油差し(小) / ゴールド【有田焼】1804年創業有田焼窯元 弥左ヱ門窯のアリタポーセリンラボはシンプルでモダンなの和食器ブランド。【お洒落な和食器】【ARITAPORCELAINLAB】05P23Apr16
|
創造性に優れた、感度の高い料理とのマリアージュに最適な器が用意されています。
有田の街並の裏通りには、やきもの製造過程で廃材となるこのトンバイ煉瓦を張り付けたトンバイ塀が続いています。
最近製造方法の変化によりドンバイ煉瓦が発生しなくなったため、有田の古い伝統的街並みを維持する公共事業に不可欠なドンバイを人工的に作ろうとした技術を転用して、磁芸釉遊というエクステリア用陶板ブリックを作っているのが、この一角にある岩尾磁器工業です。古い煉瓦造りの工場もあります。
有田焼では芸術性の高い三大窯元を中心とした窯。庶民的な日常品を作る窯の両極端があるようです。
確かに人間国宝をはじめとする、伝統的な有田の装飾性に満ちた作品は素晴らしいです。一方で、若手はこれらの芸術的な技量を背景としながら、新たな感覚をも取り入れ、料理人の望む器としての有田焼に取り組んでいることが、世界料理学会の料理人の要求に答えたオーダーメイドの作品からも伺われました。