赤坂一ツ木通りからコロンビア通り方面に坂道を登って行ったところにある、ヌーベルシノワの店。
ディナーでワインに合わせる中華料理で有名だが、ランチには手軽なサービスランチのメニューが用意されている。ほかに、麺料理やご飯料理で単品注文も可能だが、ランチタイムの予約はコース料理のみ受け付けている。
同じテーブルを使うが、コース料理とサービスランチではかなりサービスレベルが異なる。
テーブルのクロスの上に淡いグリーンの紙が置かれる。サービスランチの遊龍ランチAは豆豉入りの麻婆豆腐がメインのセット。
色彩サラダと小鉢として小菜の厚揚げとザーサイの和え物がつく。色彩サラダはグリーンサラダに蒸し鶏が加わったもの。カイワレ、ベビーリーフ、キャベツ、紫キャベツ、赤ビーマンなどと醤油ドレッシング。
スープは卵スープに玉ねぎの入ったもので、少し甘くすっきりした味であるが、やや普通のスープ。
痲婆豆腐はかなり豆豉の味が効いていて大豆のボリューム感と味わいの複雑性が感じられる。山椒は新鮮な香りがするが、強い香りではなく全体に溶け込んで隠し味的な存在である。豆腐に比べて挽肉の割合が多め。辛さは最近良くあるチェーン店系の辛めの痲婆豆腐に比べると控えめで、上品な辛さである。
食べ進むと豆豉のしょっぱさが少し気になってくる。セットの中で圧倒的に痲婆豆腐のボリュームがあるため、少し飽きてくるところがある。しかし、総合的にみれば完成度は高い。
厚揚げの和え物もまずまずの味わい。
デザートは生クリームのかかったマンゴープリンで、ソフトでまろやかでマンゴーの果肉が入って満足度のあるもの。
ご飯が少し堅いのが唯一気になった。
1200円の価格ではあるが、サービスレベルも一ツ木通りの中華料理店に比べるとかなり高く、マダムがサービスについて細かく眼を行き届かせているため(予約客とは明らかな差があるが)、質的にも満足いくものである。ただ、この店の本質はワインと合わせるコース料理を食べてみないと評価できないだろう。
A-