いよいよ今回のイタリア旅行前半のハイライト、モンブランのロープウェイである。本来であれば、フランスのシャモニーまでロープウェイを降り継いで国境を越えて行けるはずだが、別の場所にロープウェイを付け替える大規模な改修工事が行われていて、ロープウェイを2回乗り継いで、標高3329mのRefuge Torinoトリノ避難小屋まで行けるのみである。
天候が最大の問題だが、昨日と違って、モンブラン方向の山の上の方に雲がかかっている。嫌な予感がした。
ロープウェイ乗り場のあるラ・パルドLa Paludまで路線バスで向かう。ロープウェイ乗り場がバスから見えないので、正しい停留所で降りるのは難しい。運転手にしっかりと伝えておいたので、何とか降りることができた。相変わらず雲がかかっていてモンブランの山頂付近は見えない。
このロープウェイはわずか20分の非日常的経験である。2000メートルを20分程度で登ってしまう。それだけ急な山ということである。
現在建設中の新しいロープウェイの駅も見える。
最後の難関はロープウェイの駅からトリノ小屋に至る200段以上の階段。酸素が薄いためか、かなり息が切れて苦しい。
やっと辿りついた小屋から外に出るが、霧が立ち込めていてモンブランは見えない。雪が降っていて、かなり寒い。モンブランとは反対側の方向に切り立った山が少し見える程度。
約1時間、カフェでカプチーノを飲みながら待つが、霧は深まる一方で、状況は変わらず。
展望台に出てみたが、状態は悪くなるばかりで、今まで見えていた山も見えなくなりつつある。
晴れていれば見えるはずの写真の表示板が恨めしい。あきらめて、一つロープウェイを下りたPAVILLONという場所にある世界最高地点にある植物園を見ていると、少し状態は良くなったように見えた。
世界各国の高山植物を集めた植物園だが、生態系的に影響はないかと少し心配である。
ロープウェイの駅近くに、建設中の新しいロープウェイも見えた。ゴンドラも見える。
クールマイヨールの街の方向に宿泊していたホテルが見えた。1時間に1本のバスの時間まで、かなり待ち時間があり、近そうに思えたので、歩いて戻ったが予想以上に遠く、1時間近くかかってしまった。
クールマイヨールから再びアオスタまでバス。車窓からの急斜面のワイン用のブドウ畑が見えた地域は、昨日飲んだワインの産地である。
アオスタから鉄道に乗り、途中の乗換駅IVREAで降りると様子がおかしい。トリノへ行く列車はストライキで出ないという。今回の旅行最大の危機である。トリノに向かう女性がたぶんバスで行くしかないという。次の列車もストでキャンセル表示に変わる。スマホでIVREA TORINO AUTOBUSと入れて検索すると、2つのバス会社が出てきて、GTTという会社の5時15分のバスがあるようだ。駅の反対側に行くと列ができていて、その前に一緒だった女性がいた。 バスの切符を購入し、車内へ。
このバスも集落ごとに細かく回っていく地域の交通機関である。明らかに道に迷って逆走したり、地域のお祭りのため通行止めの箇所があり、予定していないルートを通ったりで、日本のバスに比べると、かなり頼りない。1時間ちょっとで着くはずだったが、2時間近くかかって何とかトリノへ。
ただ、次の停留所名が前のモニターに出るのは列車よりも進んでいる。 英語を少し話す女性から、トリノ市内に入ってから、途中のバス停でおりてトラムに乗れば、目指すトリノのポルタ・ヌオヴォ駅に行けるとのこと。トラムの切符の買い方などを教えてもらった。自然科学の研究者だそうだ。 イタリア人は親切な人が多い。公共交通機関が親切でなくても大丈夫である。結局、トリノにはストライキのため2時間程度遅れて着いた。
市内を見たり、公園やショッピングセンターのイータリーへ行く貴重な観光の時間が無くなり、ホテルに荷物を置いて、予約してもらったホテルに近いレストランに直行する。
スカンナブエSCANNABUEという日曜も開いてる貴重なレストラン。夜でもかなり暑いので路上に張り出したテラス席に。 Vitello tonnato仔牛のツナソース。
しゃぶしゃぶ肉のような仔牛肉の薄切りにイタリア料理の特徴的なソースであるツナマヨネーズを添えたこの料理は日本人にも馴染みやすい。
Tajarin di soli rossi con ragu di coniglio赤いタヤリン、ウサギのラグーソース。
タヤリンも上品な味わい。
piccione di Greppi con cipolla al sale alla genzianella グレッピ産ハトの玉ねぎ添え。
ハトもやわらかく癖がない。いずれもエレガントな料理でピエモンテの郷土料理の特色が現われている。 バローロ24ユーロという一番安いものを勧めてくれたが、これがうまい。ルイジ・オッデーロ Luigi Oddero, バローロ2006。
濃厚ではないが、程よい酸味と軽やかなタンニンのバランスの良い味わいで、軽い味わいの料理によく合う。ピエモンテ料理は日本人の味覚に良く合うだろう。卓上のオリーブ油はVENTURINO VALLI DELLA TAGGIASCA。
カジュアルではあるが、伝統的なピエモンテ料理を味わえる良心的な店である。