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國金軒 Cuisine Cuisine ifc店

香港のこの広東料理のレストランは、香港島の中環(セントラル)のifc(インター・ナショナル・フィナンシャル・センター)と九龍の尖沙咀(チムシャーツイ)の ザ・ミラ・ホンコンの2つの店があり、いずれもミシュラン1つ星を獲得している。今回はifcの店をランチに訪れる。エレガントで繊細な創作系広東料理が評判の店である。

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場所は高級なショッピングセンターの3階(日本流には4階)のレストラン街にあり、窓の外にはフェリー埠頭とヴィクトリア湾や高層ビル街が広がる。

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当店のスペシャリテSignature DishとマネージャーのKENさんお薦めのチャーハンを先ず注文する。

昼なのでワインは控えめにして、グラスの白ワイン、ソーヴィニオン・ブランを注文すると、出てきたのは日本でもおなじみのニュージーランドの定番、マールボロのソーヴィニオン・ブランであった。

スペシャリテの一つ、水晶蝦球sauteed crystal king prawns。

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殻を外した一匹の大きな車海老に包丁を入れて、白い菊の花の彫刻のようにソテーした料理。水晶のような半透明の海老が丸くなって出される。海老はしこしことしたプリプリの食感で、微妙に味が付いて、香り豊かである。外観に関する限り最高レベルの料理で、こうなると芸術的とも言える一品。皿の上には2種類のソースが用意され、一つは海老味噌ベース、もう一つはスパイシーなオイスターソース。どちらもエレガントで繊細な海老に良く合うが、まずはソースを付けずに凝縮感と透明感のある海老の食感を楽しみたい。

鮑魚三叠Braised Abalone on Linzi Mushroom and Vegetable。

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アワビと青梗菜とキノコを3層に重ねてオイスターソース系の鮑の煮汁をかけた料理。見た目は最高で当店のWEBなどで必ず出てくる看板料理である。甘くコクのあるたれ、ちょっとシンプルな感がある。鮑は柔らかいが、英米人のいうところのチューイー。生の鮑と異なり、弾力性があって、ガムのようで噛み切りにくく、箸でカットもできない。シェアするには向かず、1人1個を思い切ってかじるべきであろう。青菜はホウレン草ではなく、KENさんはチンゲンサイと言っていたが葉が多く葉脈がないためホウレン草か小松菜のようである。キノコは日本語でシイタケと言っていたが、薄く大きいので巨大なマッシュルームのようである。大型の生の鮑のスライスのような食感もあり、こちらの方が鮑より食感が良い。3層になっていても、結局は別々に食べざるをえず、ちょっとヴィジュアル優先の感がある。

芥末子母蝦餃 Mustard Shrimp Dumpling。

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海老蒸し餃子マスタード風味。一昨年の香港料理コンクール点心部門1等受賞作品。代表的な広東料理の点心、海老蒸し餃子の上に皮で包んだマスタードの小さな包みをのせていて、噛むとマスタード・ソースが広がるという仕組み。演出過剰のような気がしないでもないが、海老餃子自体ぷりぷりした食感と香り豊かな最高レベルの一品で、これだけをタレに付けても美味しい。マスタード・ソースはかなり辛い。

蜜餞叉燒皇The barbecued honey-glazed pork。

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当店の看板料理の蜂蜜漬けチャーシュー。量が多そうなので、ハーフ・ポーションでお願いした。この料理は絶対外せない。蜂蜜の甘い塗られたカリッとしたクリスピーな表面に、中身の肉は密度が粗く軽くソフトで、サクサクした赤身の食感があり、甘いねっとりした脂がミルフィーユ状に層をなしている。上質のデザートのような食感である。冷めても状態は変わらず、ワインを合わせながらゆっくり楽しめる。ニュージーランド、ホークス・ベイのピノ・ノワールにも良く合うが、ちょっと甘いので、カリフォルニアのピノかジンファンデル、あるいはシャトーヌフ・デュ・パプあたりがいいかもしれない。

國金炒飯. Fried rice with foie gras, diced barbecued pork and shrimps

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マネージャーのKENさんお薦めのフォワグラ、チャーシュー、海老入りチャーハン。海老の香りが香ばしくナッツなども入って、香ばしい味わい。香辛料をふんだんに使い、スモーキーなアロマもあり、焼き加減はややドライで、全体としてはメリハリのある、ストラクチャーのしっかりとした男性的なチャーハン。ふんわりとしっとりソフトで女性的な龍景軒のチャーハンと対極にある。

マンゴー・プディン、タピオカ入りミルク添え。

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刻みマンゴーが入っていて、甘い香りが広がる。プリンの甘みもエレガント。スタンダードなデザートだが、上品でフレッシュな味わいは冷たいデザート部門の基礎レベルの高さを感じる。

もうひとつ、KENさんのお薦めは、小豆カスタード入り米皮の揚げ餅。

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これは相当に満足度の高いデザート。餡が小豆餡とカスタードクリームが融合していて絶妙な香りと味わい。表面がからっと揚がった餅のなかからホットでクリーミーな餡が口の中に広がる。点心系の中華デザートとして、創作性、基礎調理ベルともに完成度が高い。今回はランチタイムにもかかわらず点心のオーダーは少なかったが、点心全般もレベルの高さが想像される。

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レストランの雰囲気は多少騒々しく落ち着かないものを感じるが、明るい開放的なハーバー・ヴユーのダイニングルームも心地良く、マネージャーのKENさんの片言の日本語や気さくな対応、テーブル全体に対すり気配りも素晴らしい。

ランチに関する限り、ワインはやや弱いかもしれないが、料理に関する限り満足度は3つ星並みである。日本の中華レストランにおけるワインの現状から見てもミシュラン2つ星でもおかしくないレストランと思われる。

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